CSRリテラシーに敏感になる!
リーマンショック以降の後遺症から抜け出せる糸口が見いだせないまま、世界の主要各国の大半の金融機関は痛み、国家レベルでの損失は計り知れない。一方、バブル崩壊後の20年間、日本は大きな代償と疲弊を伴いながら、銀行の健全性が確保され、資本市場では高く評価されている。世界の同時不況の中で円が買われるのは必然との皮肉な状況を生んでいる。
円高が進み、世界同時不況が進展する中、日本が将来、本当の意味で勝ち組となるには、世界に通じる企業経営を目指す必要に迫られている。現実に国内での雇用の確保は難しくなりつつあり、これまでと同じ様な経営体制がとれなくなる中、100年に1度のパラダイムシフトにどう対応するかが経営者の大きな課題となっている。
今後、日本は国際市場を相手に展開することが余儀なくされつつある。いわゆる技術者目線から顧客視点での新しい発想が求められ、一方で良い製品を大量に販売するために必要な法令遵守や規格適合のプロセス管理が重要となってくる。これらのプロセスを通常、グローバル・ローカリゼーションという。
企業は自社の製品を海外の国々に販売しようとすると、各国の規制や規格に適合させる必要に迫られる。これらの規制が強化された背景にあるものは、製品販売後の死亡事故の発生であり、死亡事故の約半数が使用者の誤使用・不注意に因ることに関係している。そして、さらにその直接的原因となるものがマニュアルや表示類に起因した製品事故となっている点である。これらの正確かつ適切な情報を適時に世界中の人々に認知させる活動がグローバル・ローカリゼーションにおけるCSR活動である。
現在、多くの企業がグローバル・ローカリゼーションにおけるCSR対策を進めている中、①ドキュメントの誤認や誤解釈の収集・評価・分析、②ドキュメント制作過程におけるハザードの抽出、③頻繁に制定・改正されるドキュメント関連法令・規格のグローバルマネジメントの実現、④ドキュメント制作のグローバル視点での修正、⑤外部専門機関との連携の強化、が国際市場におけるCSRリテラシーの重要管理点となっている。
白井邦芳「CSR視点で広報を考える」バックナンバー
- 第4回 「先進ITツールに乗り遅れるな!」(11/25)
- 第3回 「元米大統領補佐官から聞いた『目からウロコ』の話!」(11/18)
- 第2回 「“Fire & Forget”理論が語るディスコミの影響」(11/11)
- 第1回 「『広報』は、なぜ必要なのか?」(11/4)