現在、メキシコの中でも最も物価が高い都市のひとつ、リゾート都市カンクンシティにいます。キューバへ行くための通過点で立ち寄りましたが、ちょうどのタイミングでカンクンにてCOP16(国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議、10日まで)が開催されており、なかなか面白い出逢いもあり、刺激的な日々を過ごしています。
さて、海外に出て現地の外国人と話をしていると、僕が日本人であることもあり、皆共通の話題を探そうとしてくれます。そうすると必ずと言っていいほど出てくるのが日本のアニメの話です。
本当にどこの国で誰もが知っているドラゴンボールをはじめとして、最近のアニメではNARUTO、ONE PIECE、BLEACH、鋼(はがね)の錬金術師、エヴァンゲリオンなどがよく外国人から名前が挙がる印象です。ジブリの映画が好きな人も多いですね。日本アニメの知名度の高さには本当に驚くばかりです。コスタリカの日本語学校で日本語を勉強している外国人の多くが、日本語を学ぶ理由が「アニメが好きだから」とも聞きました。
さて、これだけ世界中に広がる日本のアニメコンテンツ。その波及力には本当に驚くべきものがあります。
しかしながら、フィリピンや中米諸国を旅してきての実感なのですが、日本企業がアニメのDVD販売などで今後利益を出していけるかというと、答えはノーだと思われます。
なぜならば、フィリピン、中米諸国、そしてアメリカですら違法コンテンツの販売がまん延しているのです。ちょっとした市場の露店へ行けば、誰もが100円程度のDVDディスクで違法コピーディスクを購入できます。フィリピンでは安いディスク屋だと1枚20円というものまでありました(原価取れているんですかね……?)。
もしくは、100円払わなくてもインターネットから無料でダウンロードできるという認識を持つ人も多くいます。ハリウッド映画などを筆頭に、日本のアニメコンテンツも並んでいるのが現実です。
日本のアニメコンテンツは世界でとても強いコンテンツ力を発揮しているにもかかわらず、コンテンツ販売での収益化は相当難しいのではないでしょうか。海外のテレビ局やケーブルテレビなどにコンテンツ提供をして収益を獲得している部分もあるとは思いますが、一般大衆から収益をあげるビジネスモデルを、違法入手がまん延する社会の中で構築するのはとても厳しいでしょう。
しかしながら、日本のアニメコンテンツは間違いなく世界で闘えるコンテンツです。
世界に数多くいる違法コピー利用者との良い関係をどう創り出していくかを考え、構築していかなくてはなりません。戯言(たわごと)かもしれませんが、個人的にはジブリワールドやドラゴンボールワールドのテーマパークを世界中に展開し、入園料やグッズ販売などで収益化を狙う、もしくは日本国内にそういったテーマパークを展開し、外国人観光客誘致施策とするというのもひとつの手かもしれません。何にせよ、日本のアニメコンテンツの可能性は絶大であることは間違いありません。
【次週休載のお知らせ】
太田さんは10日現在、キューバに滞在していますが、インターネット環境が十分に整っていないためコミュニケーションが取りにくい状況にあります。そこで来週(12月17日)の掲載はお休みとさせていただき、万全の体制で24日に次回コラムをお届けいたします。ご理解のほどお願いいたします。(編集部)
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