ソーシャルメディアポリシーを策定した経験から:太駄健司(第3回)

STEP 2:策定

太駄健司(ADKインタラクティブ)

前回は、ADKインタラクティブがソーシャルメディアポリシーを策定する前に準備したことを説明した。今回は、ポリシーを具体的に作文するときに工夫したことを紹介しよう。

まずは書き出し。冒頭にはポリシーの目的を明記した。目的の不明なルールは誰も守ってくれないからだ。従業員をいたずらに束縛するためのものでなく、ハッピーなソーシャルメディア活動を支援するためのものであることを理解してもらいたかった。

項目は、各種法令、業界規則、社内規則との連係を考慮。ポリシーにはあれもこれも記述したくなったが、既存の法令などで規定されていることは、再認識してほしいことを除いてポリシーから省いた。また、項目には番号を振ったり見出しを付けたりした。このように整理することで、参照されやすさや共有されやすさを高めた。

さらに、ポリシーの言い回しはできるだけポジティブにした。「してはいけない」という禁止事項を、
逆の視点から「しましょう」という推奨に換言するだけで、印象は大きく変化した。

いろいろなケースに対応する汎用性を追求すると、ポリシーの記述は抽象的な原則にならざるをえないところがあった。そこで、ポリシーとは別に、具体的な想定ケースの解説資料を用意。また、ソーシャルメディアの理解を深めるための参考資料も付加した。

ところで、ポリシーを策定するということは、ただ作文することではない。次回は、策定したポリシーの教育や運用を紹介したい。(「宣伝会議」2011年1月1日号から)

※毎月1回掲載(全4回)、次回は2011年2月1日掲載予定


(おおた・けんじ)
ADKインタラクティブ総研は、先端的なアドテクノロジーや消費者の動向を研究することにより、デジタルマーケティングの潮流を分析するシンクタンク。最近のテーマはソーシャルメディア。

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