かの村上春樹氏は、エッセイ「やがて哀しき外国語」の中で、「男の子の条件」を、(1)運動靴を履いて、(2)月に1度(美容室でなく)床屋に行って、(3)いちいち言い訳をしない――と書いているが、それはつまり、村上春樹自身である。御年61歳だが、今もアンチエイジな「男の子」のイメージがつきまとう。
では、「女の子」の条件はどうだろう。昨今、「女子会」なるワードをよく耳にするが、こちらもアンチエイジな流れにある。実は、その手の会に参加している女子たちは10代や20代に限らない。むしろ30代あたりが一番多くて、40代も結構多い。
そう、「40代女子」。昨年10月に創刊されて話題になった女性誌「GLOW(グロー)」のターゲットもそうであるように、今や彼女たちは「大人の女性」というより、恋にオシャレに現役な「女子」と呼ぶほうがふさわしい。昨年暮れに話題になったNHKドラマ「セカンドバージン」の鈴木京香も、年下男性と不倫する40代女子の役だったし、リアルな話で言えば、ツイッターから始まった例の女のバトルのご両人も、40代である。2人ともキレイだし、何より恋に現役である。
2011年、僕はそんな「女子」の定義がさらに広がると思う。具体的には、松任谷由実――ユーミン世代、50代半ばあたりまでをそう呼ぶことになりそう。考えてみれば、ユーミン世代は高校生の頃に女性誌の「an・an」や「non―no」が創刊され、ファッションの洗礼を最初に受けた世代である。歳を取っても、根っこの「女子」の本質は変わらないと思う。
昨今、流行りの現象は、「山ガール」にしても「グルーポン」にしても、主役はカップルじゃなく、女子である。2011年、そんなマーケットの主役のすそ野が、さらに広がるのだ。
草場滋「『瞬』を読む!」バックナンバー
- 第7回 「趣味を侮るなかれ。」(12/21)
- 第6回 「不況は不況、僕らは僕ら。」(12/14)
- 第5回 「そこに山ガールがいるから」(12/7)
- 第4回 「マジメ化する若者たち」(11/30)
- 第3回 「選択肢のないシアワセ」(11/22)
- 第2回 「特別な1日より、ちょっと素敵な365日」(11/16)
- 第1回 「『ソーシャル発』は直接民主制」(11/9)