米グーグルはこのほど、2011年に、世界で6000人以上の採用を行うと発表した。その後一週間で7万5000通の応募があったという。日本でも、応募数が従来の2.5倍になった。日本法人では新卒・中途合わせて200人以上の採用を目指す。08年に始めた新卒採用も、規模の拡大と共に徐々に増えてきた。求める人材像を有馬誠代表取締役に聞く。
積極採用アピールに注力
採用人数を明らかにしたのは、グーグル製品の営業支援活動の要請が非常に高まっているという背景から。日本市場でもグーグル製品の需要が大きく伸びている。日本は成熟市場の一つだが、世界で成長率が最も高い。一方、ビジネスの拡大に大きな余地があることをアピールしたいと考えているが、採用基準はゆるめていない。優秀な人材を獲得するには母集団を増やすしかないため、あえて積極採用を訴えた。
グーグルの採用基準は大まかに(1)基盤となる思考力(2)各業界の業務知識や経験、人脈など(3)リーダーシップ(4)「グーグリネス」(グーグルらしさ)の4点。(4)は共に働きたいと思うかどうか、コミュニケーション能力の有無だとも私は考えている。(1)では、思考力を図る設問にスポットが当たることが多いが、いわゆる「地頭力」の良さと同じくらい学業成績・実績の高さを重視している。入社後も学ぶ能力・意欲が必要となるため。(3)は、必要に応じて案件ごとにチームを組むことが多いので、必須の能力となる。(4)は、私は「一緒に働きたいと思うか」だと捉えている。(3)と(4)は不可分だろう。これらを、ビジネス(営業担当)、プロダクト(製品の設計)、エンジニアリング(開発)の3セクションに適用して見ている。
営業担当者には、グーグルの製品が、広告主や代理店にどう活用頂けるのかを業界別に考えてほしい。自動車業界ならでは、一般消費財ならではの提案が必要で、業界の知識や経験、人脈を採用面で重視するという傾向が、最近出てきている。実際、不動産情報サイト「HOME’S」運営のネクスト、広告会社、当社の3者でユーチューブを活用したキャンペーンを実施した例では、サイトには1月足らずで100万のアクセスがあった。これには不動産業界出身のスタッフが携わった。
一方で、グローバルと日本市場で、どのように整合性を持たせるか、ということもミッションとなる。日本のやり方、海外のやり方、どちらかだけを貫くのでなく、それぞれを適合・順応させる力が求められる。業界の知識・経験が深い上で、グーグルの価値を業界に浸透させたい、ぐらいの志を持っていただきたい。
あなたはグーグルにどのような価値をもたらせるか、と私も入社時には尋ねられた。この人が入社したら、どのような展望があるか、という観点で見ている。自分にしかないものをどう生かせるか、その質問に尽きるのではないか。