ジーエフケー マーケティングサービス ジャパン株式会社(所在地:東京都中野区、代表取締役社長:朝比奈進)は、2010年の家電およびIT市場の販売動向を発表した(※)。
※全国の有力家電・IT取扱店(家電量販店、地域家電店、総合量販店、カメラ専門店、携帯電話専門店、総合ネット通販等)からPOSデータ等を収集し、統計的な手法に基づき全国市場規模相当に拡大推計しています。
国内家電市場概況
エコポイント特需等で市場規模は大きく拡大
エコポイント制度変更前の駆け込み需要、猛暑によるエアコン販売の好調などが寄与し、2010年の家電小売市場規模は前年から約1兆円拡大し、9兆5,000億円程度になったと見込まれる。
販売チャネル別では、家電量販店が前年比15%増となったほか、インターネット通販も同26%増と大幅な成長を見せた模様。
特にエコポイント数が半減する直前の駆け込み需要の影響は大きく、家電量販店の11月の売上高は前年比87%増を記録した。分類別の売上げ構成比では、薄型TV等を含むビジュアル分類の割合が急増。家電量販店における同分類の構成比は、下半期には家電量販店の売上の4割弱を占めた。
TV:エコポイント制度を追い風に数量前年比91%、2,644万台と大幅増
エコポイント制度の恩恵を強く受け、数量前年比91%増の2,644万台と約2倍に伸長し、TV市場として過去最大の規模を記録した。
同制度の変更が発表される都度、変更前には駆け込み需要が発生し、特に12月以降の付与ポイント数半減が発表された後には、10月は同216%増、11月は同411%増と過去に例のない伸びを示した。
画面サイズの動向では、2011年7月にアナログ停波を控え、リビングのTVだけでなく寝室等の2台目、3台目の買い換え需要が増えたことから、特に32インチや19~22インチといった中小型画面が伸張した。
DVD/Blu-ray:数量前年比16%増で900万台超え、DVDからBDへの移行が更に進展
数量前年比16%増の901万台へ大幅に拡大、デジタル放送への移行や薄型TV市場の拡大に後押しされ販売が伸張した。Blu-rayDisc(以下、BD)レコーダーは457万台とレコーダー市場の8割弱に達した。
モデル数の増加やDVDレコーダーとの価格差の縮小が移行を促進させた。プレーヤー市場においてもDVDからBDへの移行が進展しており、BDプレーヤーは数量前年比101%増と昨年の約2倍に伸張した。
機能面では、BDレコーダーにおいて3D搭載機の数量構成比が拡大しており、通年で16.9%、12月には55.7%に達した。
パソコン:ディスプレイ一体型デスクトップPCやスタンダードノートPCが市場を牽引
数量前年比6%増の1,450万台となった。リテール市場は数量前年比3%増の633万台となり、二桁成長を記録した2009年をさらに上回った。
安価なネットブックが半減し、ディスプレイ一体型デスクトップPCやスタンダードノートPCが構成比を拡大したため、金額前年比も3%増と前年のマイナス成長からプラス成長に転じた。
またリセラー市場は、世界的な景気後退や企業のコスト抑制の影響でマイナス成長が続いていたが、先延ばしにされていたパソコンのリプレースが本格化し、数量前年比9%増の489万台と4年ぶりに通年でプラス成長となった。
しかしながら、平均価格の下落は止まらず、金額前年比は5%減と引き続きマイナス成長であった。
PCディスプレイ:5年ぶりにプラス成長となったリセラー市場が牽引
数量前年比3%増の395万台となった。リテール市場は、数量前年比8%減の97万台。2008年から2009年にかけて、消費者の大画面モデルへの買い替えが進行したが、2010年はその需要が一巡したことにより前年割れとなった。
リセラー市場は、企業のIT投資の持ち直しやパソコン販売の復調から数量前年比7%増の183万台と5年ぶりのプラス成長となり、市場全体を牽引した。
画面サイズの傾向は、リテール市場では21インチと23インチクラスが全体の約半数を占める一方、リセラー市場では前年に引き続き17インチスクエアが約半数を占めた。
デジタルカメラ:数量前年比11%増となり、2年ぶりに1,000万台の大台を回復
数量前年比11%増の1,067万台と、2年ぶりに1,000万台の大台を回復した。レンズ交換式カメラが前年比23%増と全体を牽引し、なかでもシステムカメラ(いわゆるミラーレスカメラ)は同171%増を記録した。
レンズ交換式カメラに占めるシステムカメラの数量構成比は24%となり、2009年の2倍以上に拡大した。
また、コンパクトカメラも前年比10%増と数量ベースでは堅調だったが、平均価格の低下により金額前年比は11%減となり、デジタルカメラ市場全体でも8%減となった。
コストパフォーマンスに優れる旧モデルが好調に推移した結果、平均価格は前年比20%減の19,800円と初めて2万円を割り込んだ。
携帯電話:スマートフォンが市場を下支えし、3年ぶりにプラス成長
数量前年比0.6%増の3,440万台と前年から微増となった。2008年に割賦販売制度が導入されてから前年比二桁減の低調が続いていたが、3年ぶりにプラスに転じた。
市場を牽引したのはスマートフォンで、数量前年比149%増、数量構成比は前年の8%から20%へと大きく伸長した。
特にAndroidOS搭載モデルの伸びが顕著で、スマートフォン市場におけるAndroidOSの数量構成比は2009年の2%から26%へ拡大し、12月単月では62%にまで達した。対して、通常の携帯電話は数量前年比12%減となり、スマートフォンへの需要シフトが鮮明になった。
冷蔵庫:エコポイント制度と猛暑が寄与し、数量前年比15%増
数量前年比15%増の527万台と、エコポイント制度・猛暑が大きく寄与し二桁成長となった。秋には同制度変更に伴う駆け込み需要から販売が加速し、10月は数量前年比37%増、11月は同87%増と急拡大を見せた。
容量クラス別の動向では、大容量クラス(401L以上)の前年比20%増をはじめ、中容量クラス(201-400L)の同14%増、小容量クラス(200L以下)の同6%増と、各クラスで好調に推移した。
特に猛暑となった夏を中心に容量501L以上のクラスが伸張し、同クラスの数量構成比は前年から3%ポイント増加して15%となった。
洗濯機:数量前年比は9%増、縦型の乾燥機能つきタイプが市場を牽引
数量前年比9%増の493万台となった。低調だった2009年の反動や、エコポイント制度や猛暑を背景とした量販店への来店客数増加の波及効果から、前後の年の買い替え需要が2010年に集中したと考えられる。
特にエコポイント制度変更前の駆け込み特需があった10月、11月には、それぞれ数量前年比15%増、同20%増と高い成長率となった。
なかでも、ラインナップや機能が充実した縦型の乾燥機能つきタイプが好調に推移し、数量構成比8%ポイント増の59%を占めて市場を牽引した。
GfK Japanのデータについて
全国有力家電量販店より、毎日POSデータを収集。モデル別であらゆるカテゴリーの動向を調査している。多くの市場データが出荷時点を捉えているのに対し、販売時点で実需を細かく追っているのが特徴である。また、同様に総合量販店(GMS)や地域家電店、インターネットチャネルなどからも販売データを収集している。