彼らのサイトを観てもわかるように、こいつすげー面白い! と思わせるポートフォリオを作ることはめちゃくちゃ重要です。最近の採用活動ではまず間違いなく、とりあえずポートフォリオのURLを送ってくれと言われ、そこで70%以上はふるい落とされます。そこでポートフォリオ制作の際の注意点としては、面白くない、自分を表現できていない仕事は絶対に載せないこと。仕事をたくさんしているのが重要なのではなくて、どんな考え方、どんなクオリティを良しとしているのかが問われます。
いまいちな仕事を載せることは、クリエーティブの価値を水で薄めてしまうようなものです。僕も自分のサイトには実際に制作した広告や作品の半分くらいしか載せていません。逆に、若くてまだあまり多くを制作していない人の間には、実際には制作まで至らなかったけどアイデアは本当に面白いというプロジェクトも載せている人がいます。これは賛否両論で、僕は自分では絶対にしないけれど、考え方を知ってもらう意味ではありなんじゃないかと思います(その代わりそのアイデアは本当に面白くないとダメですが)。
僕は、自分でむかーし作った骨と皮しかないようなバグだらけのhtmlを未だにつぎはぎしながら使っていますが、最近ではWord PressやCargoといったサービスを活用することですごく簡単にポートフォリオサイトを作れるので、まだ自分のサイトを持っていないクリエーティブは今すぐ作ることをお勧めします。
さらには、あまり自分で手を動かしてサイト制作をしたことない人は、むしろ良い機会なのでちょっと勉強して自分でコーディング(というほどのことでもないですが)することをお勧めします。そんな難しくない上に、実際にどういったプロセスでサイトが作られるのかを身をもって学ぶすごく良い機会だと思うので。またポートフォリオを作ることで、単純にそれが転職の際に有効ということだけでなく、自分の作って来た作品を改めて俯瞰することで自分のスタイルのようなものをみつけたり、今後のクリエーティブとしての方向性を立てる意味でも役に立つかと思います。
とっても基本的なことを書いた気がするので、結局はどの国にいてもクリエーティブに求められるのは良いアイデアとそれを実現する力ということでしょうか。ぜひ作品をまとめてみて、海外エージェンシーにアプライしてみてほしいです。もっと多くの人の面白いポートフォリオがWebで見られるようになると嬉しいです。
川村真司「世界のクリエーティブ」バックナンバー
- 第6回 「コピーライター+アートディレクター+?」(1/29)
- 第5回 「広告制作に新しいプロセスを」(1/8)
- 第4回 「広告制作×個人制作」(12/25)
- 第3回 「シンプルに」(12/11)
- 第2回 「不可能なんて、なんてことない」(11/27)
- 第1回 「なんで日本の外へ?」(11/13)