ターゲティングの新しい潮流1
小池政秀(サイバーエージェント)
ターゲティング技術の進化が加速している。デバイスやソーシャルメディア等の進化も手伝って、様々な種類のターゲティングができる土壌がネット広告市場に作られつつある。10年前からの流れとしては、オプトインメールや、サイトターゲティング、コンテンツマッチ、デモグラターゲティングのような様々な手法が開発され、進化を遂げてきた。それらは今でも大きな市場規模を作る手法として活躍しているが、今までにないインパクトを広告市場に与える可能性のある進化が、その裏で着々と進んでいる。
これまでにも、下馬評が高く乗り込んできたテクノロジーや手法はいくつもあったが、実際には大きな市場を作ってこられなかったものを度々見てきた。ただ、今回の流れは、それまでのものとは大きく異なる可能性を秘めている。
その流れとは、オーディエンスターゲティング広告とソーシャル広告だと考えている。今でこそ耳にするようになってきた言葉であるが、オーディエンスターゲティングは、数年前から着実に育ってきている手法であり、欧米でのマーケット規模は年々膨れ上がり、それまで踊り場に来ていたディスプレイ広告市場を一気に大きく引き上げた実績がある。しかもまだまだ拡大途中で、更に大きな可能性を秘めている。今まではどこに広告を配信するか? といった技術やマーケティング手法が焦点だったのに対し、今回は、徹底して誰に配信するか? について市場全体で精度を上げていくシステムであることがポイントだ。
また、ソーシャル広告は、フェイスブックやツイッターのようなソーシャルメディアの拡大に伴って発展し始めた手法であり、現在、徐々に市場化してきている段階。様々な成長を遂げていく期待感を大いに含んでいる。少し前まで、ネット広告市場自体が頭打ちか? と論評されそうになっていた中で、新たな規模を予感させるこの2つの潮流。今後が楽しみだ。(「宣伝会議」2011年4月1日号から)
※毎月1回掲載(全4回)、次回は2011年5月掲載予定
(こいけ・まさひで)
Ameba事業本部ビジネスディベロップメントディビジョン統括。2002年よりAmebaを含めた自社運営メディアの広告販売部門を担当・統括し、2007年夏より現職。Ameba事業の広告事業含めたマネタイズモデル拡大を担当。