震災後「人とのつながり重視」
今回の震災により個別カスタマイズした情報が必要になることが頻繁に起こった。自分の居住地付近の各種情報(震度、放射線量、電力事情などなど)は自ら収集しないとわからない。さらに報道内容の信頼性が下がっていることからその裏付け情報を収集したり、ニュース関する専門家の意見が必要になるのである。
ユーストリームの視聴率ランキングサイトでは「毎日強震モニタ【地表】および【地中】 最大加速度・リアルタイム震度」というのがあるが、これは文字通り地表や地中のゆれを全国で測定した結果を、という内容の番組である。このような番組が常に上位に顔を出すのも最近の事情であろう。
それらを裏付けるデータも続々と出ている。NTTレゾナントは5月24日、gooリサーチのサービスを通じて「震災後の被災地支援および価値観の変化」に関する調査結果と題したレポートを発表した。その内容は被災地への支援方法や寄付額なども入っているが、特に「(8)震災前後の価値観の変化」が注目に値すると考えている。「重視するようになった」「どちらかというと重視するようになった」を合わせ高かった主な項目を挙げると、以下のような表になる。
性別や年齢によって差はあるのだが、「日常生活の無駄」をなくしたり「家族、友人との連帯」を強めるために「情報の入手先」に気を遣い、「他人と情報共有」をして、「社会貢献事業」をより行っている企業の製品やサービスを利用する傾向が見て取れるのではないか?
ネットレイティングスのアナリスト・今田智仁氏はコラムで「ソーシャルリスニングから見えてきた、震災後の消費者欲求の変化~震災後、消費者が求めたのは結婚?!~」と題し、震災前後の消費者心理をいくつかの方向から分析している 。特に「結婚したい」「抱きしめたい」といった、やはり人と人のつながりを重視した内容が多くなっているという。また調査会社のシタシオンジャパンは、関東エリアに在住の男女300人を対象にした調査結果、ブログ など CGM での書き込み、ニュース記事などを総合的に評価し、生活者の生活意識が震災前後でどのように変化をしたのかを調査レポートを発表した。 その中でもやはり生活者の節約意識の高まりや購買行動の「社会や環境に貢献できるものを」への変化をレポートしている。
このような消費者の変化はメディア環境の変化とともに新しいマーケティングの形態をもたらす可能性があると筆者は考えており、今後の施策を考える際に念頭に置かねばならないといえる。この問題は、時間とともに経過する性質のものなので定期的に取り上げてゆきたい、情報や反論もツイッターなどでお伺いしたいので、どんどん送っていただきたいと考えている。