『徹底的なリサーチのもと 「告白」に関するコンテクストを構築』宣伝会議 6/1号より

男性用フレグランス市場シェアナンバーワンをキープするAXE(アックス)。さらなるユーザーの獲得を目指し、2011年のキャンペーンは男性の勇気や自信をそっと支援する「告白」がテーマ。それは日本のコンテクストに落とし込んだ、従来とは異なるコミュニケーション設計だった。

告白を応援するブランドの位置づけ

ユニリーバが展開する男性用化粧品ブランド「AXE」は、2007年にフレグランスボディスプレーを発売し、日本に上陸。以来、その商品特徴と手軽さ、そしてユニークな広告・販促活動により、その分野の市場No.1ブランドとして支持を得ている。2011年は、期間限定商品を発売、パッケージのリニューアルによってブランドの若返りを図るとともに、トップシェアをキープしたいという思いがあった。

そこで原点に立ち返り、「そもそも香りについて、人はどのように意識しているのか」と16~34歳の男女を中心に徹底的調査を行った。こうした調査はお家芸で、過去6大学での恋愛調査や、グローバルチームとともに恋愛に関する5カ国調査も行った経緯がある。

「いい香りをつけると勇気を得た、自信になった」というポジティブな回答が66%を占め、“異性を魅了する”をブランディングしてきたAXEの文脈にこれを落とし込んだ。たとえば恋愛で、勇気や自信が必要な時はいつだろうか。マーケティング部の竹下公一朗氏らチームが導き出した答えは「告白」だった。

本当に気になっている女性に対して、好きな気持ちを伝える瞬間。そこではヘアスタイルを決めたり、お洒落な服を身にまとったり、素敵なデートプランを立てたりと様々なアプローチがあるなかで、香りを身にまとって自信と勇気を付けてもらいたい。そこで、「AXEは男性の恋愛を応援するブランド」というキャンペーンの全体像のもと、「“Go Direct” 恋をしよう。いい香りで。」をメインキャッチコピーとして、情報設計をしていった。

まず、5月9日を「告白の日(=こ(5)く(9)はく)」と制定し、その日に合わせ、現代の男性の恋愛や告白に対する姿勢、女性の恋愛観や希望を明らかにするため、高校生・大学生・20代社会人男女各300人に意識調査を再び実施した。その結果、女性は男性のアプローチを待っており、男性が考えるよりも告白するといい結果が待っている可能性が高いことが明らかになった。

たとえば「押しの強い男子が好き…72%」「100 点満点中70点以上の男性だったら付き合ってしまう」「意識していない男性でも、告白されたら付き合うかも…55%」「明確な告白の言葉がほしい…88%」など。これらのレポートから告白を後押しできる土壌をつくることに専念した。「AXEが発信するというよりはむしろ、世の中で告白のムードをつくりたい」と竹下氏は語る。(次ページに続く)

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