レッドブルを中心に世界に広がるエナジードリンク市場と、それを脅かす(かも知れない)競合商品

日本でも今では若者を中心にお馴染みとなってきているレッドブル。20年以上前に、日本の大正製薬のリポビタンDから強い影響を受けたというオーストリア人が開発した、新しいエナジードリンク(栄養ドリンク)です。レッドブルの元祖はタイですが、既に定番となっているのはオーストリアのレッドブルのモノでしょう。

日本では通常のリポビタンDなどに比べて、わりと高めの価格帯に位置されているレッドブルですが、海外でも同様に通常の清涼飲料水よりは高い価格帯になっています。しかも、途上国と呼ばれる経済的に貧しい国であっても、レッドブルは日本で売っている値段とさほど変りない価格で販売されています。国によって特段安くすることが無いのです。

つまり、途上国においては富裕層中心にターゲティングしているということがわかります。
例えばコカ・コーラは貧しい国では24円から購入できるようにと大衆に愛される工夫をしているのですが、レッドブルは一切無し。コカ・コーラが24円の国でも150円以上するのが基本です。途上国の一般的な所得の人達からすると、非常に高価なドリンクとして位置しているのです。

このレッドブルですが、僕が旅してきたこれまでの国で、恐らく見掛けない国は無かったのではないでしょうか?
ブラジルなどでももちろん受け入れられており、社会主義国家のキューバでも販売されていて、アフリカのルワンダでも当たり前のように販売されていました。

そして、つい先日、レッドブル本社があるオーストリアのザルツブルクへ訪れました。
そこにはハンガー7という展示場があり、レッドブルがスポンサードしている歴代の飛行機やF1カーなどが展示されていました。そのハンガー7の少し手前のスーパーマーケットにアイス屋があって、そこに「レッドブルアイス」というのが手書きで書いてあって興味津々で頼みましたが、正直美味しくなかったです……。ただのシャーベットですね。

そして、やはり各国のスーパーマーケットを趣味で渡り歩いている僕は、気になって気になって、そのザルツブルクにあるスーパーマーケットに飛び込んでみました。そこには想像通り、レッドブルがズラーッと並んで……

いるかと思ったら……並んでいない。
そのスーパーマーケットにはレッドブルは無く、変わりにこのフライングパワーというエナジードリンクが山積みされていました。こちら、オーストリアの普通の売店だと約300円、スーパーマーケットでも1本200円弱はするレッドブルに比べて、このフライングパワーは1本約30円。

これは安い…。そう思って目の前で眺めていたら、隣にオーストリア人のオバさんがやってきて、凄い勢いで買い物カゴにフライングパワーを買い込んでいました。もちろん、僕は買って試飲しましたが、ほぼレッドブル同様の味…。デザインもほぼパクリなこのドリンクはさすがに訴えられても不思議ではないですね。

さすがにレッドブルがスーパーマーケットで売っていないのはオカシイと思い、他のスーパーマーケットを何軒かハシゴしました。ドイツとオーストリア国境近くのスーパーマーケットにも。そしたらフライングパワー以外の競合商品が無数に存在していました。

フライングパワーのような商品も含めて、その中には他国でも見かけることがあるモンスターや、ロックスター。そして日本では未発売ですが世界各地でコカ・コーラ社が手がけているエナジードリンクのBURNなども。

もう……まさに群雄割拠の戦国時代。価格帯は約30円~300円ぐらいまで様々。
値段が高いものは内容量が500mlだったりします。大手スーパーマーケットチェーンがプライベートブランドとしてエナジードリンクを発売していたりもするほど、オーストリアやドイツでは熾烈な競争が行われているようです。

レッドブルも473ml大容量版や、ボトルタイプ、濃縮タイプ、コーラ+レッドブルなど、様々な商品をリリースしているようです。

欧米市場ではかなり激しい競争があるようですが、他地域では数種類しか見ることはなかったです。途上国へ行くと、本当にレッドブルばかり。

レッドブルは既に黒船第一号として、栄養ドリンク市場が成熟した市場となっていた日本に参入してきていますが、色々と差別化・工夫をした無数の競合商品が日本の栄養ドリンク市場に黒船船団としてやってくるのは近い未来起こりえるなと感じました(既にロックスターなどは日本にきていますが)。

日本の元祖栄養ドリンクのリポビタンDは、本格的に黒船がやってきたその時どうするのか。
非常に気になるところです。
また、レッドブルなどはユンケルのような高級価格帯のドリンクを扱ってはいないようですが、今後はその市場も日本では狙ってくるのではないでしょうか?・・・そして、世界へと。
リポビタンDもアジアでは展開していますが、欧米市場やラテンアメリカ、アフリカでは既にレッドブルに先を行かれているでしょう。なんとか、日本代表として頑張って欲しいと個人的には思っています。

僕の勝手な意見ですがリポビタンDなどは、サラリーマンが疲れた時や受験生が眠い時に使うイメージが強すぎる気がします。新ブランドを立ち上げて、レッドブルのように若者がテンションをあげていきたい時に呑む、夜遊びのパートナー、そんなブランド戦略を早急に展開するべきなのではないでしょうか?

以下、数々のエナジードリンクたち。

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太田 英基(世界一周バックパッカー)
太田 英基(世界一周バックパッカー)

スクールウィズ代表取締役
元サムライバックパッカープロジェクト発起人

大学在学中の2005年11月、広告サービス「タダコピ」を仲間と共に創業。取締役を経て、2010年1月に退社。2010年5月から3ヶ月間のフィリピン留学を経て、約2年間の世界一周の旅へ。アドタイで約80本のコラムを執筆しながら旅をした。2012年夏に帰国。
帰国後はフィリピン留学を中心とした留学サービス【スクールウィズ】で起業し、留学以外にも英語学習サービスも複数運営している。

面白いことと、世の中にとって価値あることを常に追い求める根っからの企画屋。
執筆著書、講演実績多数。宮城県出身、1985年生まれ。

スクールウィズ: http://schoolwith.me/
Twitter/X: https://twitter.com/mohideki/

太田 英基(世界一周バックパッカー)

スクールウィズ代表取締役
元サムライバックパッカープロジェクト発起人

大学在学中の2005年11月、広告サービス「タダコピ」を仲間と共に創業。取締役を経て、2010年1月に退社。2010年5月から3ヶ月間のフィリピン留学を経て、約2年間の世界一周の旅へ。アドタイで約80本のコラムを執筆しながら旅をした。2012年夏に帰国。
帰国後はフィリピン留学を中心とした留学サービス【スクールウィズ】で起業し、留学以外にも英語学習サービスも複数運営している。

面白いことと、世の中にとって価値あることを常に追い求める根っからの企画屋。
執筆著書、講演実績多数。宮城県出身、1985年生まれ。

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