東南海地震連動への準備・対応
現在、東海・東南海・南海の3つの地震が同時に発生(地震連動)した場合に備えて、広域災害の発生、国と自治体の役割分担、市町村機能の補完について検討されている。
すでに識者がシミュレーションを始めているが、津波の早さは海洋で時速800km~900km、岸付近では40km~50kmで、東南海の地域で地震連動が起きた場合は数十分で陸地に到達するものとされており、また、津波の高さも地形の問題から東日本大震災の倍程度になる可能性も指摘されている。
さらに、発生した場所によっては、神奈川、東京、千葉の各地域の液状化が顕著となり、23区内も含めて深刻な状況に備えて早期の対策が必要との声も高い。液状化現象のメカニズムとその影響力は未知の部分が多く、東南海地震連動が発生すれば、被害の甚大さは日本では初めての規模となると予測している識者も多い。
陸地だけではなく、海底にも大きなダメージがあり、インターネットの海底ケーブルが断線するなど、東日本大震災では有効であったインターネット回線が使用できなくなる可能性も、もはや想定範囲だ。
原発や計画停電の課題を処理しきれていない現状においても、新たな危機は迫りつつある。30mを超える津波が時速800kmで日本を襲うとき、今からどんなことをしなければならないか、あらゆる視点から優先順位を決めてとりかからないと間に合わない。東南海地震の30年以内の発生確率60%~70%(東海地震は87%)は、明日にも発生する可能性があることを忘れてはならない。
白井邦芳「CSR視点で広報を考える」バックナンバー
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