「もっとしなやかに、もっとしたたかに」

文:小林パウロ篤史


当たり前の事なんですが、売上がない状態ならば、使えば使っただけ、会社のお金(資本金)は減ってゆく。皆さんが勤めている会社も同じ。売上があって、支払いがある。

大事なのは「売上」があるという事。
つまり「売るもの」があるという事。

我がメディアジャンプ社が売上を挙げるには、いま、まさにリリースに向けて開発最終段階の「Webサービス事業」が主軸となります。

しかし開発中=売るものがない=売上も実質的にないわけで、あるのは「パウロと糸永」という肉体資本だけ(笑)。

でも、そんなさなかでも「会社=経営」とは残酷なもので、支払わねばならないモノがたくさんあります。開発手付金、家賃、通信費……そして自分たちの給与などなど。当然、資本金残高はずんずん減ってゆく。

事業計画上では理解していても、実際にお金が減って行く様は、まるで「溶けて行く氷」のよう。先輩経営者の方々から「その恐怖感はホラー映画の比ではない」と聞いてはいたものの、実際に体感してみると……一気に背筋が寒くなります(笑)。

この不安感を無くすには。「溶けて行く氷」を止めるには。
答えは簡単。2つしかない。

「氷を増やす」。売上が入る手口を増やす。
「溶けないように氷を冷やす」。月々かかる定額コストを(ローンチ前から)見直す。

この2つしかありません。まだ新米経営者ながら、どこか「売上は毎月作りたい」という気持ちは確かにあって、またありがたいことに、行っている事業開発と関連のあるジャンルで別途、売上を上げることは多少なりともできています。

ただ、事業をローンチさせる前の段階で、この「氷をどうするか」の判断は難しい。自分(パウロ)と糸永、限られた資本=労働力を主軸ではない売上のためにどこまで振り分けていいものなんだろうか? いまは売上よりも開発を重視するべきなんじゃないだろうか? というジレンマと直面もする。

そして、コストを見直せば当然出てくるマイナスインパクトとの兼ね合いはどうするべきなのか。それでも見直しを進めるべきなのか?

この判断、ある意味極端だけど「目先の売上のために、未来の本業をどこまで今、効率化してしまうか?」という判断に近いかもしれない(苦笑)。

でも、この舵取りが「経営」なんだ、と思う。

未来に向けたストーリーを自ら書き、その理想に向けて純粋に「しなやかに」突き進みながら、同時に「したたかに」今日の売上だって稼いでゆく。

「もっとしなやかに、もっとしたたかに」

これが、今の自分たちにとって大切なコトバ。

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小林パウロ篤史/糸永洋三(MediaJUMP代表取締役共同経営責任者)
小林パウロ篤史/糸永洋三(MediaJUMP代表取締役共同経営責任者)

小林パウロ篤史
1998年総合商社に入社。中南米、アフリカへの自動車輸出業務に携わる。初出張はスーダン。その後、博報堂、博報堂DYメディアパートナーズにて広告の最前線を経験。「ミクシィ年賀状」などで受賞歴あり。2011年4月から現職。(写真左)

糸永洋三
2000年博報堂入社。大手自動車会社などを担当。その後、博報堂、博報堂DYメディアパートナーズにて、インターネット領域のメディアプロデュース業務を担当。2011年4月から現職。(写真右)

株式会社MediaJUMP: http://www.media-jump.co.jp
Twitter :  小林パウロ @paulokobayahsi  糸永 @yozoyozo

小林パウロ篤史/糸永洋三(MediaJUMP代表取締役共同経営責任者)

小林パウロ篤史
1998年総合商社に入社。中南米、アフリカへの自動車輸出業務に携わる。初出張はスーダン。その後、博報堂、博報堂DYメディアパートナーズにて広告の最前線を経験。「ミクシィ年賀状」などで受賞歴あり。2011年4月から現職。(写真左)

糸永洋三
2000年博報堂入社。大手自動車会社などを担当。その後、博報堂、博報堂DYメディアパートナーズにて、インターネット領域のメディアプロデュース業務を担当。2011年4月から現職。(写真右)

株式会社MediaJUMP: http://www.media-jump.co.jp
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