つまりCirclesの考え方は今までのソーシャルメディアの多くをそのまま取り込めるものになっているということである。現在Circles以外のメインのコンテンツは10人までビデオ会議が出来るHangoutsや自分の趣味や興味関心がシェアできるSparksといった機能があり、今後も拡大してゆくと思われる。
そしてもうひとつ日本での普及の鍵になると考えるのは、7月27日にグーグルが発表したGoogle+に関する発表の中に、筆者が以前このコラムでフェイスブック普及に必要と指摘した2つの提言が入っているからである。
ひとつ目は、本名で登録しなければいけないのであるがニックネームでの交信を認めたことである。筆者が「『ソーシャルメディア文化』めぐる日米の違い」の中で書いたように、日本人は「匿名」のような間接表現を好み「フェイスブック、日本では携帯電話との競争に」の中で書いたように、本名を公開することに日本人の90%近くの人に抵抗感があるのという点がほぼクリアされている。
また「フェイスブックのアカウント閉鎖を考える」で指摘したように、ポリシーに反していても突然にアカウントを閉鎖するのではなく、警告し修正申告する猶予を与えることにするということである。
これは同社がポリシーに違反したユーザーの削除を行ったところ大きな反響があったことに起因するということであるが、同社の柔軟な姿勢が垣間見ることができるのではないか。フェイスブックが今まで一方的にアカウント閉鎖を行ったり、FBMLプログラミング言語のサポートを中止したりしたのに比べ、ユーザーと会話をしながらソーシャルメディアのプラットフォームを一緒に作ってゆくという姿勢は評価される可能性が高いと考える。
そして、今はまだユーザーベースとして少ないのであるが、スマートフォンの拡大とともにユーザーを増やしているGmailやスマートフォンのOSとして新機種のシェアでトップに立ったAndroid OSなどを活用し、ソーシャルグラフの移行や取得に成功すれば、少なくとも日本などフェイスブックの浸透率が低いマーケットでは急激にプレゼンスを高める可能性があるのではないかと考えるのである。
江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー
- 地デジ完全移行のもたらす変化とは?パソコンのマーケティング手法が参考に(7/27)
- ツイッターの世界記録も作ったFIFA女子ワールドカップ決勝(7/20)
- なかなか光が当たらないが重要なWeb施策:電子メール、SEM(7/13)
- フィーチャーフォンとスマートフォンの「いいとこ取り」ハイブリッド端末が増殖中(7/6)
- Consumer360から展望する米国のマーケティング事情(6/29)
- フェイスブックは本物か。ブームで終わるのか(6/22)
- 相次ぐサービス導入で「入札型広告」はどこまで普及するのか(6/15)
- リキッド・アンド・リンクド戦略を展開する先は「トリプルメディア+1」(6/8)