設立から1カ月、コカ・コーラ「ビジネスイノベーションセンター」の狙いと成果

日本コカ・コーラが6月に設立した、体験型販売研究を行える施設「ビジネスイノベーションセンター」。ここには、46インチの液晶画面を20台つなげたスクリーンがあり、そこにチェーンストア、料飲店、自動販売機などを実物大の映像で再現。小売やボトリング会社などとともに新たな売り場を共同開発するなど、ショッパーマーケティングの拠点として位置づけられている。

稼働から1カ月が経過し、実際にどのような活用がなされているのか。同社 カスタマー&コマーシャルリーダーシップ ケイパビリティデベロップメント バイスプレジデント 佐藤 真氏に、施設を案内してもらいながら、現在の状況と見えてきた成果を聞いた。

この施設は刺激を与える「メディア」であり「場」

――― この施設の特性や狙いについて教えてください。

このビジネスイノベーションセンターは、店頭、ショッパーについて考える「メディア」ととらえています。その特長は、できるだけ店頭をバーチャルに再現できるということです。日本はもちろん、海外も含めた店頭展開の成功事例やこれまで当社が培ってきた、ショッパーに関する知見のデータがそろっています。

もう一つのポイントは、ここを訪れた小売・流通の方などと「店頭発、店頭着」という発想を共有したうえで、話し合い、考え、一緒につくっていこうという場になっていることです。

流通、メーカー、広告会社など、リテールに関するプランナーの、実際のプランニングにおける意思決定の実態をみると、店頭というものがリアルに反映されているかどうか、疑問に思うところがありました。例えば、「先月の雑誌、昨日の新聞ではこうだった」「こないだ見に行ったら店ではこうでした」「先々月行った小売店調査の結果を見るとこうなっていました」といった具合に非常に抽象的に語られています。また、そうした場合、たいてい資料をA4の紙にしたり、プロジェクターで映し出して話していることが多いのです。

従って、店頭について企画検討して決定するという仕事の流れにおいて、実は中心であるべき店頭がきわめて抽象的なものになっている状況なのです。さらに言えば、抽象的であってもビジュアルなどがあればいい方で、最近までは消費者とブランドの話に終始し、そこをつなぐ店頭の話が抜け落ちていることもありました。(次ページへ続く


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