宣伝会議編集部では7月初旬、サンフランシスコにてグーグル、ツイッターのほか、クリエイティブエージェンシーなどを訪問。宣伝会議8月15日号では、18ページにわたり現地レポートを掲載しました。「AdverTimes.」では特別編として、カリフォルニア州に3拠点を構える「プラグアンドプレイ」のレポートをお届けします。
プラグアンドプレイは約250社、1000名が働くインキュベーションセンター。ベンチャー企業の起業支援を手掛けるほか、大企業のサテライトオフィスなども。日本企業が集まるパビリオンもあり、海外進出の足がかりとして機能しています。
※本誌掲載の記事に、写真を追加しレポートしました。
日本企業もオフィスを構える、巨大なインキュベーションセンター
2006年に設立されたプラグアンドプレイには現在、ソフトウエア開発やバイオテック、クリーンテック(環境ビジネス)を手掛ける企業など250社が入居している。センター内では各社がオフィススペースをシェアしており、中にはiPhoneアプリの開発に特化した企業パビリオンなども見られた。同センターのライアン・スティーブンソン氏は「センター入居にあたっての審査は厳しくないが、いずれもテクノロジー関係の企業であることが前提」と説明する。
このほか約50社の投資会社と取引があり、ベンチャー企業の実務サポートを行ってきた。既に多くの企業がスタートアップに成功しており、中には入居してわずか9カ月でプラグアンドプレイから巣立った企業もある。
なお、今回のプラグアンドプレイの視察にあたってはIMAnetの八木博氏、日本企業の海外進出を支援するベンチャーキャピタル、サンブリッジの大木美代子氏に協力をいただいた。八木氏は日本企業の米国進出を支援する団体「JABI」のボードメンバーを務めるほか、アドテックジャパンの実現に尽力。環境ビジネス、バイオなど広い分野で日米ビジネスの支援実績もある。またサンブリッジは日本オラクルの設立者であるアレン・マイナー氏が代表を務め、主な投資先としてセールスフォース・ドットコム、マクロミルなど7社の新規株式公開を手掛けてきた。
プラグアンドプレイには日本の大手企業・団体も多数入居しており、現在はKDDIやNTTデータ、オムロン、福岡県、法政大学などもサテライトオフィスを開設している。また中には、サンブリッジがプロデュースする「ジャパンパビリオン」というエリアもある。ここではロックオンなど、数社の日本発ベンチャーの拠点が集まっている。
八木氏は「日本では新しい技術があれば、イノベーションが起きると考えられがち。実際にイノベーションを起こすには、受け入れるだけのマーケットプレイスが必要。シリコンバレーにはそのマーケットを作り上げる仕組みが多数ある」と説明。プラグアンドプレイは無から「有」を生み出してきた、シリコンバレーの原点とも言うべき場所なのである。
ご参考
現地訪問時、「シリコンバレーのイノベーション エコシステム」をテーマとする、八木博氏によるプレゼンテーションが行われました。詳細はこちらから。