経済産業省がクール・ジャパン戦略の一環として取り組む「CREATIVE TOKYO」構想のキックオフイベントが4日、東京デザイナーズウィーク2011の会場内にて行われた。CREATIVE TOKYOは、経産省が東京都や関係省庁、商店街、百貨店、ディペロッパー、大学、NPO などと連携し、日本のクリエイティブ産業のショーケースである東京を活性化、アジアの創造的な人材や情報、資金を誘引し、アジアのクリエイティブハブ都市とすることを目指すプロジェクト。
「CREATIVE TOKYO FORUM」と称されたこのキックオフイベント内では、編集工学研究所所長の松岡正剛氏が「新しい日本の創造」をテーマに基調講演を行ったほか、脳科学者の茂木健一郎氏、ブルータス編集長の西田善太氏、建築家の中村拓志氏、現代アーティストのスプツニ子!氏、PARTYの伊藤直樹氏らのトークセッションが行われた。また、森美術館館長の南條史生氏がモデレーターを務めたセッションでは、デザイナーの原研哉氏、ゲームクリエイターの水口哲也氏、チームラボの猪子寿之氏など、こちらも多彩な顔ぶれが揃った。
(当日の詳細および公演アーカイブはhttp://ustre.am/Ebuaで視聴可能)
全てのセッションの最後に、南條氏から「CREATIVE TOKYOに向けて」と題された提言と、賛同・署名組織の紹介が行われた。
提言では、東京をアジアの最も重要なクリエイティブハブとするために「街を挙げたプロモーションを行い、日本の感性を国内外に発信する」「業種を超えた連携を促進し、日本の文化やライフスタイルに関連する新たなビジネスを生み出す」「世界の才能を呼び寄せ、多様な文化の中で若い才能が切磋琢磨できる機会を創出する」「国内外のクリエイティブシティと連携する」などの項目が発表された。
南條氏は提言にあたって、次のようにスピーチした。「大量に安いものを創る時代が終わり、産業もクリエイティビティが重要になってきた。“スマートシティ“などの言葉に象徴されるように、オペレーションや日々の業務はコンピューターが精緻に制御するようになっていく。その中では、単なる便利さではなく、違う観点を生み出すことに価値があり、求められる。アートにおける“美学”とは、ものの見方・考え方、つまりコンセプト。ドイツの芸術家ヨーゼフ・ボイスは“社会もクリエイティブに創りなおせば、それはアートだ”との意味を込めて『社会彫刻』という言葉を残した。日本の復興にしても、ただ漠然と以前と同じものにしては意味がない。美的観点、なおかつコンセプトからアプローチされなければいけない。そこには、アートやデザインの力が必要。来年はこの場で、ぜひ具体的な成果が示せればと思う」。
最後に登壇した経産省の枝野大臣は「経済産業省大臣に就任して2カ月になるが、日本には私たちもまだ認識しきれていない、ましてや生かし切れていない大きな力がある。クリエイティブそのものを霞が関や永田町で創り出すことはできない。だが、ここに集まっている皆さんの力がもっと発揮できるような環境づくりに国としても力を注ぎたい」と締めくくった。
なお、提言「CREATIVE TOKYOに向けて」に賛同・署名を表明しているのは以下の31組織。
アートフェア東京実行委員会、青山コモンズ・渋谷芸術祭実行委員会、秋葉原タウンマネジメント、クリエイティブ・シティ・コンソーシアム、ぐるなび、GTF(グレータートウキョウ フェスティバル実行委員会)、講談社、コクヨファニチャー、渋谷音楽祭実行委員会/NPO 渋谷駅周辺地区まちづくり協議会、墨田区役所、そごう・西部、多摩美術大学、デザインタイド トーキョー、東京急行電鉄、東京文化発信プロジェクト、東急モールズデベロップメント、東京藝術大学、東京ミッドタウンマネジメント、東京ラーメンショー実行委員会、一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構、商店街振興組合原宿表参道欅会、パルコ、松屋、三井不動産、三越伊勢丹、三菱地所、武蔵野美術大学、森ビル、ルミネ、ワコールアートセンター・スパイラル、DESIGN ASSOCIATION NPO。