第51回「消費者のためになった広告コンクール」(日本アドバタイザーズ協会主催)の表彰会が18日、東京都内で開かれ、各賞の受賞社がそれぞれ壇上で表彰を受けた。
最高賞の「経済産業大臣賞」には、味の素(新聞広告部門、雑誌広告部門)と東京ガス(テレビ広告部門)がそれぞれ受賞。「家族の絆」をテーマにした企業CMで選ばれた東京ガスの尾花秀章・執行役員広報部長は、「3.11(東日本大震災)を経験して、家族の絆の大切さをこれほど実感したことはなかったのではないか」と同社の広告が共感された理由を分析し、「引き続き皆さんの共感を得られる広告をつくっていきたい」と述べた。東京ガスの広告を担当しベストパートナー賞を受賞した電通の澤本嘉光氏も震災について触れ、「一時期CMがまったく流れなくなり、さびしい思いを経験した。(CMが復活し)日々流れている時点で、消費者のためになっていると思う」と話した。
また、日本アドバタイザーズ協会の佐治信忠理事長は冒頭のあいさつで、「宣伝は量です。企業が宣伝にもっともっとお金を使うことが、消費者のためにもつながる」と強調し、会場を沸かせた。
本賞では、ホイチョイ・プロダクションズのイラストを起用した宣伝会議「広告マスターコース」の新聞全30段広告が新聞広告部門の銀賞に選ばれた。雑誌の年間購読や年鑑・書籍がパッケージになった商品で、「(広告に描かれている)ビジネスにおける『このままでいいの?』に心当たりのある人は少なくないはず。勉強しなくてはと思わされる」(予備審査委員長の芳賀康浩青山学院大教授)と講評された。
「消費者のためになった広告コンクール」は、消費者モニターや消費者団体、学識経験者などが審査するのが特徴。広告制作者が審査する他の広告賞と比べ、生活密着型の商品・サービスが選ばれる傾向にある。昨年50回目を機にリニューアルし、新聞・雑誌広告について審査作品の選定を行う消費者モニターをすべて入れ替えたほか、エリアを首都圏から全国主要都市に広げた。また経産大臣賞について、制作担当社を顕彰するベストパートナー賞を新設。これまで新聞広告部門に限られていた地域広告賞を、テレビ、ラジオの各部門にも広げた。
応募総数は前回比179点増の3689点で、他の多くの広告賞が応募を減らす中で健闘した。部門別では、新聞とテレビ、Webサイトで応募数が増えたが、雑誌とラジオは減少した。