大学生らが新エネルギーのソーシャルサイト立ち上げ


慶應義塾大学福澤諭吉記念文明塾 地球環境プロジェクト

1人でも多くの人がエネルギーについて考える場をつくりたい

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サイトを立ち上げたメンバーの思い


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ほかの人の訪問の感想を読んだり、コメントを書き込んだりして交流することができる。

「私たちは3.11東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故を通して初めてエネルギー問題について真剣に考えることになりました」

12月10日、学生と社会人がともに学ぶ慶應義塾大学福澤諭吉記念文明塾・地球環境プロジェクトの最終発表が行われ、それぞれの問題意識に沿った3つのプロジェクトの取組み内容のプレゼンテーションが行われた。そのうちのひとつが新エネルギーのソーシャルサイト「新エネ見聞録」を立ち上げた。

「原発事故で多くの人が停電を経験し、既存のエネルギー・システムの問題を感じるとともに、新エネルギーに高い関心を寄せるようになりました。新エネルギーには高コスト、不安定といった弱点もあります。しかし、いまは関心が高まっているのでチャンスであることは間違いありません」

メンバー7名は、エネルギー問題をさまざまな角度から考え、新エネルギーの問題に関する調査を行った。その結果、コスト高や気象条件に左右されるなど課題はあるものの、そもそも新エネルギーに関する情報が不足していることが問題であると考えた。そこで、多くの人が旅行や散策を楽しみながら新エネルギーに触れることを促進するソーシャルサイトをたちあげるというアイデアにいたったという。

サイトの利用者はサイトにログインし、訪れた新エネルギーサイトの感想を日記としてアップすることができる。ほかの人の投稿を読んで情報を得たり、「行きたい!」ボタンやコメントを書き込むことで、交流することができる。

メンバーは、「ポイント制や周辺の観光施設のクーポンをつけるなどしてネットワークを拡大したい」「専門家の協力を得て、太陽光発電や風力発電、バイオマス、地熱発電など新エネルギーの仕組みについて学ぶスタディツアーに発展させたい」と、夢や展望を語った。

まだ、発展途上のサイトだが、再生可能エネルギーの固定価格買取制度も導入され、期待が高まる新エネルギーだけに、今後の発展に期待が寄せられる。

砂漠化防止に点滴灌漑 CRMを学んで企業に提案

この慶應義塾大学福澤諭吉記念文明塾・地球環境プロジェクトでは、ほかにも2つのプロジェクトが発表され、ひとつめのプロジェクト「e-connect」は、砂漠化とその解決に効果がある点滴灌漑に着目。セネガルでヤマハ発動機など国内外のいくつかの企業が取組む点滴灌漑のプロジェクトを紹介した。

少ない水で農業が可能になり、砂漠化を防ぐとともに、貧困や飢餓問題の解決策になることから、点滴灌漑はアフリカの希望ともいえるが、個々の農家が独自に取組むには機械の費用が高すぎる。そこで、e-connectグループはらでぃっしゅぼーや、コカ・コーラ、GREE、ファミリーマートといった企業に寄付金付きのコーズリレーテッド・マーケティングを提案し、協力を呼びかけた。

実際に企業を訪問してみて、国内の企業は東日本大震災からの復興支援に注力しており、海外まで手が回らないと断られたという。しかし、メンバーは提案力を高め、これからも企業への提案を続けていきたいと熱意を語った。

マンションでもできる家庭用コンポストの啓発

もうひとつのグループは家庭用コンポストを利用した環境教育を提案した。家庭で出てくる生ごみをたい肥にするコンポストは、これまで広い庭などがないとできないと考えられていた。しかし、マンションのベランダでもできる段ボール堆肥の活動が少しずつ各地のコミュニティに広がっている。

みかん箱サイズの段ボール箱と、堆肥の元(ピートモス6、もみ殻くん炭4)を用意し、1日500グラム程度の生ごみを混ぜていく。ポイントは生ごみを小さく刻むこと。こうすることによって、微生物がうまく働き、腐敗臭もなく約3カ月で良質なたい肥ができる。同グループでは、家庭でのコンポスト活動を推進するワークショップを行ったり、約束カードや「地球守り隊」任命証などのツールを配るなどして地域の小学校などで紹介し、啓発を行った。たい肥は有機栽培を行っている農家などに引き取ってもらうことで出口も確保、食品のライフサイクルを理解することによる環境教育の効果は高いと好評を博したという。

「福澤諭吉記念文明塾」は、慶應義塾の原点を見つめ直し、未来貢献を果たすための教育・研究プロジェクトで、150年記念事業の一環として始まった。私塾の原点に帰る、学生と社会人がともに学ぶ、社中協力などの理念を掲げ、プログラムを通じて学んだことを実社会で実践していくことを目指す。リーダーシップやコーチング、リベラルアーツを学ぶコアプログラムがあり、環境プロジェクトではコアプログラムに加え「環境イノベーターの育成」を目指している。

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