【Webサービス改善会議⑤】インタラクティブとは、コンセプトである(最終回)

博報堂インタラクティブ局の功績

高広 僕が博報堂にいた当時の「インタラクティブ局」は、メディアビジネスやそれに近いことに数多くチャレンジしていた。「お年玉くじ付き電子年賀状」も、「ペタろう」も「ガチャロボ」もそう。広告代理店がこうしたビジネスを手がけ始めたことが、博報堂の電脳体とかインタラクティブ局の最大の革命だった。電通も博報堂もそうだけど、代理店は媒体社の資産を預かって売るのだから、自分たち自身が媒体社の売り物と競合するものをつくってはならないという暗黙の了解が大前提としてあったから。

小林 なるほど。

高広 「インタラクティブ」とは、メディアやツールを指すのではなく、広告のコンセプトだと考えた人が当時いたんだよね。以前はマスメディアの存在があまりにも大きかったから、コミュニケーションは一方通行が基本だった。そこにインターネットが出てきた結果、「DMなども含めて、インタラクティブという言葉でまとめられるよね」と思った人たちがこの局をつくった。だからインターネット局じゃなかったし、デジタル局でもなかった。

小林 「インタラクティブとは、メディアではなくコンセプトである」か。

高広 あと博報堂で素晴らしかったものに研修制度がある。いろんな部署のいろんな年齢の人が集まっていて、会社の中にこういう人がいるんだというのがわかったり。キャリア研修があったり、テストや座学も含めていろいろあったけど、自分自身の強みはどこにあるのか、といったことが心理学的なスコアでわかったりするのもあったな。今もあるの?

小林 それは今もありますし、もっと手厚くなっているんじゃないでしょうか。僕の前職は商社でしたが、研修制度なんてほとんどなかったですよ。博報堂に入って驚きました。入社前もありましたし、入ってからも博報堂大学というのがあって、学生のように学べる場もしっかりある。意欲さえあればいくらでも学べる。

高広 研修制度が良かったという話は、同期入社で、今はアイスタイルのCMOをしている高松雄康ともよく話している。「脱博者の会」ってフェイスブック上にもグループ作ってて(笑)、そういうのを通じて辞めた人と会う機会があるのだけど、博報堂が嫌いで辞めた人って一人もいないんだよね。むしろみんな「博報堂好きなんだけど」と言う。だからいまだにみんな仲がいい。

※この鼎談は、10月中旬に都内居酒屋で実施しました。

小林 今日はありがとうございました。考えさせられましたよ。

糸永 うれしいですね。予算配分考え直そう(笑)

小林 本当だよな……。

そうして3人は次の店へ消えていきました。
(終わり)

「宣伝会議」12月1日発売号にも鼎談の一部を掲載しています。こちらもご覧ください。

シリーズ【Webサービス改善会議】
【Webサービス改善会議①】広告会社の新ビジネス領域を開拓する!
【Webサービス改善会議②】ソーシャルメディアは「人と人のつながり」って本当?
【Webサービス改善会議③】もっと自由に「メディア」について考えよう 
【Webサービス改善会議④】どんな「レコメンド」が求められているのか


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