「大学名に県名が入っていない、県庁所在地ではない場所にある。それゆえに“弘前”という名前と読み方が若い人たちに覚えてもらいにくかった」。
こんな課題を持っていた弘前大学が2009年から開始したのは、若年層・青年層をターゲットとした漫画雑誌への広告出稿だ。「普通の広告では意味がない。他にはない広告で弘前大学の先進性、斬新性などを多くの人たちに知ってもらいたい」と考え、企画したもの。
2009年度は「週刊少年ジャンプ」「週刊少年マガジン」「デザート」など6誌に各1回ずつ、2010年度は「週刊少年マガジン」に5号連続のシリーズ広告を出稿。そして、2011年度は「週刊少年マガジン」、「週刊少年サンデー」ほか、「ザ・テレビジョン」、「TVガイド」、「TVぴあ」、「TVブロス」といったテレビ情報誌の1月28日号に一斉に出稿したのである。
なぜテレビ情報誌なのか?「漫画雑誌への出稿はインパクトがあり、話題にもなりましたが、2年続いたので違うアプローチをしたかった」(弘前大学)。そこで漫画雑誌だけではなく、雑誌全般で検討する中で、今回はターゲットである高校生、そして新聞を読まない層が確実に読むであろうテレビ情報誌に出稿することを決定した。
雑誌の種類だけではなく、今年新たに実施したのは、雑誌広告と連動とした特設ウェブサイトの開設である。出稿日と同じ18日にオープンした。広告のコンテンツである「弘前大学の誌面講義」は、漫画の題材と登場する先生の研究内容を結びつけたもの。広告には載せきれなかった「こぼれ話」を追加し、雑誌広告以外でもその内容を閲覧できるようにした。「弘前市は新幹線が通っておらず、交通の便が悪い本州の最北端にある大学ゆえに、敬遠されがち。そのため、この大学だからできる、地方でも先進的な研究や学問ができることを理解してもらえることを意識してつくっている」。
また今回は、もう一つトピックスとして、広告に登場する先生の写真を同大学の写真サークルの学生たちが撮影した。その裏話もサイトでは紹介している。「学生にとっても、本格的な撮影に参加できたことが、良い経験になった」という。
2011年度は受験者数が直近8年間で最高人数を達成したという弘前大学。今年はこの広告でさらなる受験者数の達成を目指す。
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大阪府知事、市長が変わり「大阪都構想」を掲げ、アナログ放送完全廃止、東京スカイツリーの竣工、ロンドンオリンピックの開催、主要国で大統領選挙が行われるなどが続く2012年。広報担当者は自社の広報戦略の中でどんなことをキャッチし活動に活かしていけばよいのか。