日本アドバタイザーズ協会(JAA)が主催する第38回「JAA広告論文」の表彰会が24日、都内で開かれた。8人の受賞者は壇上で、JAAの佐治信忠理事長から記念の盾(たて)を受け取った。
最高賞のJAA金賞に選ばれたライオンの南曉氏(薬品事業部ブランドマネージャー)は、2002年に続いて2回目の金賞受賞。下痢止め薬「ストッパ」のプロモーションの一環で制作した、近くのトイレの情報を提供するスマートフォンアプリについて企画背景と波及効果を分析した。南氏は壇上で、自身は「スマホはおろか、携帯電話もほとんど使わない」と明かし、「デジタルでもアナログであっても、コミュニケーションの本質は変わらない」と強調した。
JAA銀賞に選ばれた日産自動車宣伝部の黄珊珊氏は、老舗ブランド「日産マーチ」の2010年のフルモデルチェンジに至る取り組みと反省、販売不振で2011年に「リローンチ」しキャンペーンを成功に導くまでの過程を記した。JAA銅賞のサントリービジネスエキスパート宣伝部の堀田晶子氏は、人気漫画のキャラクター「島耕作」など雑誌コンテンツを活用した成功事例を紹介。壇上では「生活者は広告とわかっていても、それが楽しければ積極的に乗ってくれる」と述べた。
JAAは3人が登壇する入賞者講演会を大阪(3月2日)、東京(3月9日)にそれぞれ開く。参加費は5250円(JAA会員社は無料)。
JAA広告論文の入賞者は次の通り。
JAA金賞
▼スマートフォンアプリの広告メディアとしての可能性と活用方法について
~アイ(i)アプリ「ストッパ@トイレ」によるマーケティングスタディ~
ライオン ヘルス&ホームケア事業本部薬品事業部ブランドマネージャー 南曉
JAA銀賞
▼リローンチ広告の成功の鍵は「視点」が握る~日産マーチの事例から~
日産自動車 マーケティング本部宣伝部 黄珊珊
JAA銅賞
▼雑誌コンテンツ活用の大いなる有望性
サントリービジネスエキスパート 宣伝部 堀田晶子
優秀賞
▼AIE(=Advertising In Education)~教育のなかの広告~についての提言
主婦の友社 人事総務部法務課課長 阿南一徳
▼映画化で『悪人』はミリオンセラーになるか?
~朝日文庫『悪人』200万部突破の事例から、「書店」というメディアの可能性を探る~
朝日新聞出版 販売部次長 西尾茂
▼右脳と左脳両方から刺激するコミュニケーション戦略
~ロングセラーブランド「ニチレイアセロラ」シリーズならではの広告とPRのベストバランス~
サントリー食品インターナショナル 食品事業部宣伝企画担当 太原夏苗
▼デジタルの時代に、BS・CSでできること
~「もっと見てもらう番組」のために、広告主として考える施策~
トヨタマーケティングジャパン プロデュース局コミュニケーションデザイン室主任 小川裕之
▼100年に一度の変革
100年に一度のマーケティングを目指して~電気自動車の市場導入~
日産自動車 マーケティング本部販売促進部 大村昌宏