※本記事は3/1掲載の「首都直下型大震災に備える(1)」の続きです。
大都市で災害にあったらむやみに動かないのが原則
いっぽう、新宿駅周辺では、まず、9時30分から新宿伊勢丹の1階婦人服飾雑貨売り場で訓練が始まった。
伊勢丹新宿店で行われた訓練のもよう。不特定多数の来店客などが多い施設では、エレベーターの停止に備えて、1階だけでなく、上のフロアでの訓練も必要だ。
災害発生時の館内放送、来店客と従業員の誘導や負傷者の搬送などの訓練が行われた。今回訓練が行われたのは1階のみで、上のフロアからの誘導や、負傷者の搬送訓練などは行われていないため、エレベーターやエスカレーターが止まったとき、照明が消えてしまったときなどの対策も必要ではないかと思われる。
続いて、10時からは新宿駅と東京都庁での帰宅困難者の一時避難を想定した訓練が行われた。まず、150人が参加して、JR新宿駅構内で利用客保護訓練が実施された。
JR 新宿駅での帰宅困難者の一時保護を想定した訓練。世界で最も乗降客の多い新宿駅で、3日分備蓄を用意することは、JR 東日本にとって大きな課題となりそうだ。
JR新宿駅には1000人・1日分の備蓄があるが、1日の平均乗降客数が346万人の新宿駅で、この規模では心もとない。3月中に都議会で成立する見込みの備蓄条例では、民間企業にも3日分の備蓄が義務づけられるため、ターミナル駅などでの備蓄や供給体制は大きな課題だ。駅構内と並行して、西口では約850人が参加して帰宅困難者が一時滞在施設へ自主的に避難する訓練が行われた。行き先が事前に知らされない「ブラインド訓練」で、参加者は東京都防災ホームページやSNSなどを通して、公的機関から流される情報を頼りに自力で移動した。
さらに、新宿駅西口から都庁舎までの移動訓練には、議会棟に約600人、第1本庁舎に約800人、第2本庁舎に約600人、合計約2000人が参加した。避難者たちには毛布と水、カロリーメイトが配布された。
東京都では350万人の帰宅困難者が出ることを想定し、各所で受入れ体制を整えているが、昨年の東日本大震災では、携帯電話や固定電話がつながらず、情報伝達の不備で想定通りの受入れができなかった。
「キャパシティを超える人が集まって混乱してしまったところと、ほとんど人が来なかったところの差が大きく、いかに速やかに情報を伝達するかが大きな課題」(中山弘子新宿区長)という。
都市型災害では、不安からパニック状態に陥ったり、誤った情報に振り回されたりすると、二次災害が拡大する恐れがあり、情報伝達手段の確保が防災・減災のカギとなる。
都市型災害においては、災害時にきちんと機能するエリアワンセグやSNS などの情報伝達手段が使えるかどうかが大きな課題となる。
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