新取引をスムーズに進める方法

販促会議』の連載「知らないと損をする!販促コスト劇的改善策~同じ費用で10倍の効果を生み出す」。の第5回。今回は、コストを削減するために、新たな取引先とスムーズに仕事を進めるためのノウハウについて本誌より一部抜粋して紹介する。

販促会議2012年3月号』の連載「販促コスト劇的改善策」より

文:購買戦略研究所 代表取締役COO 古市 勝久

新取引への切り替えにおけるリスクと手順

前回までは、おもに見積取得の交渉手法について話しました。今回は、見積取得した後の陥りがちなミスと意思決定プロセスについて説明します。

条件を獲得した後はどうするのか。今後の取引先が現状取引をしている企業であれば単価の見直しが必要となり、新たな取引先であれば、取引先の見直しが必要となります。単価の見直しなら、新単価への切り替え時期の合意のみとなり比較的進めやすいですが、取引先の見直しとなるとなかなか手間がかかります。

特に支出金額が大きな品目になればなるほど、「取引先を変更しても本当に大丈夫だろうか」「新しい担当者はこちらの要求にきちんと対応してくれるのか」という不安が生じます。また、事前準備なしにすべてを変更しようとすると業務負荷が非常にかかり、かつ、直接の売り上げにも支障をきたします。従って、いかにリスクなく取引先を切り替えるかが重要です。そのためには、リスクを洗い出し、課題を解消する必要があります。そこで、ここでは取引先の切り替えを行う際の主なリスクとその対策方法を説明します。

1.クオリティーに対するリスク

クオリティーの不安に対しては、事前のコンペによってある程度解消することができます。過去の実績を見ることでその企業の得意とするものや実力が分かりますが、コンペでは、自社に対する提案書、プレゼンを行っている担当者が話す内容が、自社の目標と合致しているか、いち早く自社の企業風土を汲み取って提案しているかなどを見ます。さらにその提案(コンセプト、アイデア、デザイン性)を実行することでどこまでの効果を生み出せるかをよく検証してください。

2.業務オペレーション上のリスク

業務オペレーション上のリスクに関しては、新規取引先との「業務の役割」や「立ち位置」について事前に検討する必要があります。「これまでの取引先はここまでやってくれたから、ここもやってくれだろう」と思っていても、その内容を新規取引先にきちんと伝えていなければ、実行されないという事態が起きたり、後から、追加料金を請求されることにもなります。

こうした点については、相互に認識のずれが生じないよう、見積取得の前段階で準備することが重要です。具体的には、業務オペレーションを含む仕様書の設計とその見積書のフォーマットを統一しておくことです。

見積書については各社さまざまな書式で提出してくるケースがほとんどですが、見積書の書式(見積項目、含まれる費用等)を統一することにより、各社の認識の違い、自社/外注含む対応力の差などが明確になります。また、後任の担当者へ引継ぐ際も分かりやすくなります。手順としては、必要となる費用が明確に記載された見積書を回収し、基本的にはそれ以上の費用が生じないことを双方で合意をとっておくことです。長期的な付き合いを行っていくためにも、最初に要件を準備し、それに則した見積書を提出してもらうことが重要です。

実施プロセスの概略2

新取引へのスムーズな切替における実施プロセスの概略

続きの

3.繁忙期等の対応リスク
4.契約期間に対するリスク

については『販促会議2012年3月号』をご覧ください。

定期購読者の特典として、この連載と連動した、「販促コスト削減に役立つ購買実態調査シート」がダウンロードできます。3月末までにお申し込み頂くと、さらなる特典があります。


【連載:販促コスト劇的最善策】

購買戦略研究所 代表取締役COO 古市 勝久
1996年 リーヴ・スポーツに入社し、マーケティングや業務改革プロジェクトに携わる。2000年に大手通信キャリアグループに入社。同年にMBAを取得し、B2B(企業間電子商取引)市場を研究。その後、「リバースオークション」のビジネスモデルを構築。2005年に早稲田大学IT戦略研究所と連携し、購買戦略研究所を設立し、代表取締役に就任
『販促会議』2012年3月号
 保存版!デジタルサイネージ、スマートフォン連携、AR活用・・・交通広告・OOH活用事例54
2011年に行われた交通広告、OOHの54の事例をまとめた。また、交通広告によって実際にモノが動くかといった、調査データも掲載している。これらの事例から、それぞれの特性に合わせた活用のヒントが見つかるはずだ。

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