日本でも自社(オウンド)、ソーシャル(シェアード)、広告(ペイド)のトリプルメディアがうたわれてから久しいが、それらの融合は思ったほど進んでいないようである。筆者は現在米国本土に来ているが、各メディアを融合させた展開が日本と比べてかなり進んできたように思えたのでその点を記してみたい。
特に米国では、以下の4つの情報を各メディアで告知することが多く、特徴としてはどれ一つではなく場合によっては全ての情報を載せている点である。(1) フリーダイヤル(1-800xxx-xxxx)など電話番号、 (2) ホームページURL(xxxxx.com)、 (3)フェイスブックページ(facebook.com/xxxx)、 (4)ツイッターページ (twitter/xxxx)である。
フリーダイヤルなど電話番号を重視:デジタルデバイドへの対応か?
今回あらためて見直してみると、インターネット上以外の自社メディアと広告には必ずといっていいほどフリーダイヤルや電話番号が記載されている。テレビでは通販の広告ではもちろんのこと、何らかの情報が必要な場合にはこのフリーダイヤルが告知され、音声も「Call 1-800-xxx-xxxx today」のフレーズで終わるものが多い。また、高級ブランド以外の屋外広告や雑誌の広告などにも何らかの連絡先が記されているケースが多数を占める。
また、道を走るタクシーや配達のトラックなど商用車にも必ずといっていいほど、電話番号やURLが記載されている。これは、一つにはインターネットを利用しない人も多く、電話経由の選択肢も提供しているといえるだろう。また、米国の電話は自動対応のものが多くプッシュホン形式で資料請求の住所入力が可能なので、日本のように多くの人員をコールセンターに配置しなくても良い(混んでいて待たされるのに慣れている)などの背景もあると考えられるのである。日本では広告を出すときに電話がつながらなくなることを配慮して稼動人員を増やすなど経費が増加する要因にもなっているが、それが無いのでより気軽に使えるということもあるだろう。
デジタル放送移行メリットを活用した、自社メディア・ソーシャルメディアへの誘導が活発
今回、見ていて驚いたのはあらゆる番組からの自社メディア(番組ホームページ)やソーシャルメディア(facebook、Twitter)への誘導が当たり前のようになされているということである。その手法であるが、番組の放送されている最中に、随所にテロップが流れるか常設される形で、「For more information check out http://www.xxxx.com」「Please follow us at facebook/xxxx」とか「Please follow us at Twitter/xxxx」などといった文字が表示されるのである。
推測ではあるが、米国では2009年6月15日に地上デジタル放送への移行が完了しており、これらはそのデータ領域を通じて提供されているのではないか。筆者の見る限り、ニュースやバラエティ、トークショーやドラマなどジャンルに関わらずこれは実施されている。ちなみに、米国のテレビには日本のような「Dボタン」が設置されていないので、常にデータ放送を表示して放送されていると推測できる。実際日本でも放送局側の制御でDボタンを押さずにデータ放送を画面表示行うことはできる(弊社でもCMで実施した実績あり)ので、Dボタンを押さずともこのような施策は可能だ。
上記のように、米国ではあらゆるメディアを融合する動きが始まっており、その中では特に自社メディアや広告の活用やデジタル放送へ移行のメリットであるデータ領域の活用が見られる。広告や商用車などの自社メディアにもっとCall to actionを入れる施策は日本ではあまり提案されず、日本ではスタンダードな「検索オプション」すら入っていないケースが多いので、このあたりは改善の余地があると考えられる。また、日本企業は海外での展開ではこのような施策を実施することが競争上必要であり、また国内においても有効であることが考えられるので、取り入れていかないと国際競争上で不利になることが考えられないだろうか?
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