オンライン環境さえあれば時間や場所を限定せずに多くの人とブランドをつなげられるのがデジタルの魅力。もっとたくさんの人に、能動的に参加してもらうにはどうすればよいのか。その答えのひとつが身体的なアプローチです。3月31日発売の『ブレーン』2012年5月号では、感性への訴えかけに焦点を置いた海外事例を特集。誌面に載せきれなかった事例から、スマホ片手にポーランドの大自然の中で宝探しをしたジープの企画を紹介します。
消費者が動いてこそコミュニケーションが生まれる
ジープ ポーランド「Jeep-in」/レオ・バーネット ワルシャワ
「PCと向き合ってばかりいないで、外に出よう!」とばかりに、ジープ ポーランドが実施した宝探し風キャンペーン。レオ・バーネットワルシャワが企画した。同社コピーライターのカミル・コバルチェクさんは「ポーランド市場では現在、ジープはニッチなクルマだと考えられていて、シェアは0.22%ほど。年間でも販売台数は600台ほどなんです。まずはブランドと消費者をつなげるキャンペーンが求められていました」と振り返る。そこでデジタル端末を使いこなす若い世代をターゲットに、ジープの持つ「探検家精神」を体感してもらおうと企画したのが「Jeep-in(ジープ・イン)」だった。
舞台はポーランド国内全域。GPS(全地球測位システム)を活用して、森の中や、湖畔、洞窟などをチェックポイントに設定した。街から遠く、自然が険しい場所ほど得られるスコアが高い。ポイントに到達した参加者は専用のスマートフォンアプリを用いて、「チェックイン」ならぬ「ジープ・イン」。「探検家精神」を発揮して、たくさんのスコアを獲得した参加者には「ジープ・グランド・チェロキー」をプレゼントする。2011年8月1日~31日の1カ月間で約2000人が参加したという。
「『ジープ・イン』で最も重要視したのは消費者の行動が伴うことです」とコバルチェクさんは話す。「ジープからの呼びかけに応じて、消費者が実際に動いたときにこそ、ブランドと彼らとのコミュニケーションが生まれます。行ったことのない場所を探検する魅力――ジープの根幹にある考え方を翻訳し、体験できるようにしたのが『ジープ・イン』の生まれた背景です」。