「企業からの返信なし」に65.3%のユーザーが悪印象
宣伝会議では4月、TwitterとFacebookの両方を利用しているソーシャルメディアユーザー300人に対し、「企業の公式Twitter、Facebookページの印象に関する調査」を実施した。同時に、企業でソーシャルメディアを運用している担当者100人を対象に、「自社の公式Twitter、Facebookページの運営に関する調査」を実施した。
今回は企業によるTwitterやFacebookの公式アカウントの「投稿のトーン」「投稿内容」「ユーザーとの対話」に関して、「生活者から見た印象」および「企業の運営実態」について調査を行ったところ、双方の認識に3つのギャップがあることが分かった。本日から全3回で、この3つのギャップをユーザーの声から分析していく。
※調査結果の全容は5月15日発売の宣伝会議の巻頭特集「浸透するSNS“相互監視”社会の消費者心理」にて掲載。調査概要は本記事の最後にて。
企業の担当者とユーザーの間で生じている、3つの認識のギャップ
(1)「Facebookに書き込んだ苦情に対する企業の返信なし」は65.3%のユーザーが悪印象
⇔企業の担当者の23.0%が「苦情には返信しない」(2)「商品・サービスなどを直接的に宣伝するつぶやき」を受容するユーザーは3割
⇔企業の担当者の8割が「直接的に宣伝するつぶやき」を実施
※(2)の解説記事はこちらから(3) 企業によるTwitterの「アクティブサポート」、5割の生活者が「好印象」と回答
⇔アクティブサポートを導入している企業の担当者は26.0%に留まる
※(2)の解説記事はこちらから※「アクティブサポート」とは、企業の担当者が“自社に関するTwitterのつぶやきを検索し、つぶやいたユーザーに企業からツイッター上で話しかける”行為のこと。
ネガティブな書き込みへの対応方法は模索中?
(1)「Facebookに書き込んだ苦情に対する企業の返信なし」は65.3%のユーザーが悪印象
⇔企業の担当者の23.0%が「苦情には返信しない」
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Facebookページのウォールで、ユーザーの「前向きな書き込み」に対して企業が返信したり、「いいね!」ボタンを押したりするといった反応は79.0%のユーザーが好意的に受け取っている。企業の担当者も、前向きな書き込みに対しては75.0%が何らかの返信や「いいね!」といった対応を現場で実施しており、逆に「返信しない」という企業は3.0%に留まった。
その一方で、ユーザーの「苦情コメント」に対して「返信をする」という企業の担当者は67%と、前向きな書き込みである場合に比べて8.0ポイント減少する。また「返信しない」割合は23.0%となっており、否定的な内容は反応がしづらいという担当者の本音がうかがえる。
その背景には、「国内運営のFacebookについては、基本方針としてユーザーとの会話はNGにしている。理由はモニタリングする専任者がいないため」(広告主・宣伝部)といった人的リソースの課題がある。
また「文字数制限がある中で、言葉足らずで誤解を招いて、クレームにつながってしまうのではと不安」(広告主・営業支援、販促部門)、「ユーザーの投稿や質問(メッセージ)に対するリアルタイムでの返信ができないのが悩み。フェイスブック上では答えられない質問をされると、結果的に電話の窓口を案内するだけの対応となってしまう」(広告主・WEB関連部署)という声もあり、コミュニケーションを深める必要性は理解しながらも、ソーシャルメディアでのコミュニケーションをどのように位置づけるか模索中という企業も多い。
一方で、見逃せないのが「苦情に対する返信がない」企業のアカウントに対して、ユーザーの65.3%が「悪い印象を持つ」という、シビアな結果である。ユーザーからは「質問にしっかり答えてくれない企業はイメージが良くない」(20代男性)といった意見が目立ったほか、返信をした場合の対応も厳しく観察されている。
「質問者が言いがかりのような文句をつけ始めて、やり取りが荒れているのを目にしたときは不愉快だった」(30代男性)、「明らかに面倒な言葉で返信があるとがっかりする」(50代女性)という声もあり、企業としては慎重に対応せざるをえないというのが現状のようだ。
調査概要
1,ソーシャルメディア利用者向け調査
「企業の公式Twitter、Facebookページの印象に関する調査」
調査時期:2012年4月
調査方法:インターネットリサーチ
有効回答数:300人
回答者属性:全国に住む15歳以上の男女/職業不問/ツイッター、フェイスブックの両方のアカウントを持っているユーザー
調査協力:GMOリサーチ
2,企業の担当者向け調査
「広告主企業の公式ツイッター、フェイスブックページ運用に関する調査」
調査時期:2012年4月
調査方法:インターネットリサーチ
有効回答数:134(ただし今回の調査結果では広告業・メディアを除き、広告主企業に属する100名のみ抽出して集計)
回答者属性:広告主企業のソーシャルメディア担当者。主に宣伝会議のソーシャルメディア関連講座の修了生、宣伝会議編集部の過去の取材先など。
主な調査項目
- 投稿のトーン=架空のキャラクターによるつぶやき/社員の名前を出したつぶやき/友人同士のような、くだけた口調のつぶやき/企業の事業内容とは関係ない、私的な内容のつぶやき
- 投稿内容=商品・サービスなどを、直接的に宣伝するつぶやき/キャンペーンやクーポンなど、お得な情報のつぶやき/ユーザーが企業のアカウントをフォローすることで、参加・応募できるキャンペーン/DM機能を使ったフォロワーへのプロモーション
- ユーザーとの対話=自社のアカウント(Facebookページ)に対する、ユーザーからの質問への返信、“いいね!”/自社のアカウント(同)に対する、ユーザーからの苦情への返信/自社に関するポジティブなつぶやきを検索し、そのユーザーに話しかける/自社に関するネガティブなつぶやきを検索し、そのユーザーに話しかける 他