海外勤務ネタにご興味がある方が多いようなので、今回は私の今までの体験談と海外で働くための道のりについて書きたいと思います。
生まれも育ちも日本。帰国子女でもなく、たいして留学経験もない私は、全然英語もできないのに、海外に行きたくてしょうがありませんでした。ずっとコミュニケーション業界で働きたくて大学でも広告論を専攻し、就職活動では日本ディスプレイ協会に加盟している大手からベンチャーまで全100社以上の説明会に行きました。
当時もとても就職難の時代で、先輩たちが就職浪人をしている中での就職活動。女性は短大卒業なら多少なりとも若いので銀行や保険会社などの就職口がなんとかありましたが、有名大学でもない4大を下手に卒業し歳だけとって、私は何の取り柄もなく、コミュニケーション業界での就職口はそう簡単には見つかりませんでした。第一希望だった会社は社長の待ち伏せまでしたり、小さなイベント会社で無休で働いたり、アルバイトから潜り込もうとしたり、色々試みましたが自分の働きたい業界での就職は決まりませんでした。
そこで自分の足りないものを補うために、ただの留学ではなくアメリカで勤務した経験を積んでくるという目的で下記の3年プランをたてました。「学生」から「アメリカで働く」まで行くための最短&最安のプランだと思います。
1.語学学校9カ月
次のステップに必要なTOEFLスコア600まで英語力を上げるために、日本人が少ないであろうアーカンソー州の田舎町でひたすら勉強しました。
2.大学付属Extensionプログラムを3クォーター、9カ月
OPTまで最短の道のり。
働くのに必要なOPT(Optional Practical Training)ビザを取得するためには、自分の最終学歴より高い学士を修了しなければなりません。大学院にいくと2年かかるし、お金も高い。大学と大学院の間にある大学Extensionsプログラムは1クォーターずつ申請でき、3クォーター終了するとOPTに申請できます。私はマーケティングとグローバルビジネスマネージメントとインターンをして3クォーター修了しました。ここでポイントはのちのちH1ビザへの切り替えの際にこの最終学歴の専攻と同じ職種でないとH1ビザ申請ができないので要注意となります。
3.OPTビザで就職1年
OPTビザの有効期限は1年。アメリカで勤務するのに唯一職種を選ばず合法でお給料をもらえる夢のようなビザです。ここで次のステップであるH1ビザをスポンサーしてくれる会社に就職し、翌年からH1ビザに切り替えられないと、ビザが切れて日本に帰国しなければなりません。私はここで、日系流通会社のと米系医療会社のマーケティング部で働き、H1ビザのスポンサーもしていただけるという幸運にめぐりあえました。
ところが、当時ブッシュ政権で9.11同時多発テロ後という事もあり、お金をかけて弁護士も通して企業にスポンサーまでしてもらって申請したH1ビザもコンピューターランダマイズに落とされるという運命を経て、あっけなく日本帰国となりました。
海外に出ると外国人になる私達には、ビザの問題は死活問題で、お金もかかるし、自分の一生を左右する問題なので、ビザのために偽装結婚したり子供を産んだりする人がいるほどです。
おとなしく帰国すると第二新卒としてリベンジ就活をし、日系広告代理店を経て、現在のマッキャン・ワールドグループのモメンタムに就職しました。当時敬語も忘れてしまった状態で日本に帰ってきてしまったので、上司や先輩方、クライアントにまで大変お世話になりました(今でもよくご迷惑おかけしておりますが。。。)。日本での働き方をまたゼロからスタートして5年たった頃、運よく企業内転勤という形でL1ビザでニューヨークに1年半在籍。そして現在のサンパウロ勤務に至ります。このタイミングでブラジルに行けるなんて! THIS IS THE PLACE TO BE RIGHT NOW!!
内向き志向といわれる今、海外にいる日本人が少なくなってきていることは、海外にいると肌で感じます。特にアメリカでは、アジアはインド人が飛びぬけて多く、中国人、韓国人ともよく仕事で会う機会がありましたが、日本人にはほとんど会いませんでした。2011年に行われたハーバード大学の教授たちのパネルディスカッションでも、ハーバード大学の日本人留学生は10分の1に減少しており、韓国人が急増していると、日本を心配していました。
海外に飛び出したい方々はご存じの通り、この道はとても遠い道のりです。運や時代のタイミングもあります。努力してもどうにもならない事もたくさんあります。
ニューヨークにいた時、カメラマンのたまご、スタイリストのたまご、ミュージシャンのたまご、アーティストのたまご、デザイナーのたまご、映画監督のたまご、、、夢と情熱を持ち下積みで努力しているたまご達にたくさん会いました。ニューヨークは夢と希望を持っているたまご達が、世界中から集まる街です。アリシア キーズやJAY-Zを生み出した街です。
たまご達は口をそろえて言っていました。「成功者は運がよかったんじゃない」と。「運は皆に平等に舞い降りる。成功者はその運が舞い降りた瞬間につかみとれるから成功者だ」。 逆に言えば、「成功者になるためには運がいつ舞い降りてもいいように、日々の完璧の準備ができていないといけない」と、ほとんどすべての時間とお金を削って努力し続けていました。どんな小さな事を成し遂げるのにもそうなのではなかろうかと思います。日本にいる場合は、プラス手を挙げるという努力が必要かと思いますが。
海外に飛び出したい皆様、海外と働きたい皆様、少数派かとは思いますがぜひ前進し続けてください。きっと運は舞い降ります。
私のパワースポット、タイムズスクエア。
杉野恵美「ブラジルADカーニバル」 バックナンバー
- 第7回 Best of Both Worlds ブラジルx日本(5/15)
- 第6回 Empire State of Mind, NY勤務時代(5/8)
- 第5回 「海外と働く」と「海外で働く」の違い(5/1)
- 第4回 大人になってから身に着けた私の英語学習法(4/24)
- 第3回 リオデジャネイロで音楽三昧!(4/17)
- 第2回 クリエイティブが選ぶ今ホットなブラジリアンアーティスト(4/10)
- 第1回 ビバ!ブラジル到着!!(4/3)