【ソーシャルメディア活用(9)バンダイナムコゲームス】「『Yeah!』と言えば観客が『Yeah!』と返す」

山本理恵さんと塩入達也さん

山本理恵さん(左)と塩入達也さん(右)

今回は、ツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディアに加え、ユーチューブも積極的に活用しているバンダイナムコゲームスに伺いました。プロモーション部でソーシャルメディアの運用を担当する山本理恵さんと塩入達也さんにお話をお聞きしました。

炎上の不安、部門連携でクリア

——ソーシャルメディアを活用し始めたきっかけを教えてください。

塩入 ソーシャルメディアとして最初に取り組んだのはツイッターです。すでにツイッターの勢いを肌で感じていて、解決すべき課題はあるけれどまずはやってみよう、ということで、2010年5月にWebサイトを運用するWebマスターのアカウントとbotアカウントの2つを立ち上げました。

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——立ち上げまでの課題はどのようなことだったのでしょうか。

塩入 ツイッター運用に賛成してくれる積極的な人ももちろんいたのですが、一方で「炎上の心配はないのか」といった慎重派の人も多く、そうした慎重派の人たちにも理解してもらうための活動が必要でした。特に日頃からお客さまとやりとりしているユーザーサポート窓口は「クレームが来たらどうするのか」「外に発信してはいけない情報を出してしまうのでは」という心配をしていたようです。

——その課題をクリアできた鍵はどこにあったのでしょうか。

塩入 さまざまな部門とちゃんと連携を取って進める体制を作ろう、ということです。具体的には、運用のガイドラインを作成することにして、ユーザーサポートやリスクマネジメントの部門の意見を取り入れていくことにしました。社内でもすでにツイッターを使っている社員も多く、放っておいて危険な発言をされるよりも、発言してはいけない内容を前もって定めておき、何かあったら連絡できるような体制を整えましょう、ということですね。

とはいえ実際に運用してみないとノウハウもわかりませんし、ツイッターを使ったことがない人がガイドラインを作っても、ルールが厳しすぎて結局何もできない。ということで「ガイドラインを作るためにもツイッターの運用を始めて、ノウハウをガイドラインに取り入れていく」ということを理解してもらい、ツイッターの運用を開始した、というのが経緯です。

——ツイッターを始めた時の運用体制は。

塩入 最初はツイッターアカウント担当が私1人で、もう1つのbotはプログラムを組める社員が担当していました。私はもともと広報担当で、コミュニケーションや文章作成についても多少ノウハウがありましたので、Webマスターアカウントを運用し、もう1つのbotは自動で情報を取得してきたり、面白いリアクションを返すプログラムで自動で運用していました。

ロックバンドのコンサートみたい

——始められた頃の手応えはいかがでしたか?

初期の頃はとても面白かったですね。フォロワーもどんどん増えていくし、よくも悪くもノールールで、手探りながらもツイッターにポジティブな空気を感じていました。例えるならばロックバンドのコンサートみたいで、ステージから「Yeah!」って言うと観客が「Yeah!」と返ってくるコールアンドレスポンスのような感覚でした。売り上げには直接つながらないかもしれませんが、大きな可能性は感じましたね。

——ツイッターと連携した「太鼓の達人」もiPhoneアプリで出されていますね

山本 iPhone版「太鼓の達人」を手がけたのは私が当時在籍していた部署なのですが、新しいことをとりあえずやってみよう、という空気の部署だったので、実験的にツイッター連携を取り入れてみました。ゲームをプレイして「楽しい」と思ったその体験をツイッターを通じて友達に伝えて欲しい、というのが目的ですね。

ツイッターでの拡散はきちんと集計はできていないのですが、リリースして早々に100万ダウンロードを達成できました。これはソーシャルメディア対応のおかげもあったと感じています。

——現在はかなり多くのソーシャルメディアを運用されていますが、その管理体制はどうなっているのでしょうか。

塩入 アカウント運用者が情報を共有するメーリングリストを用意して、そこで運用に関する相談を受けつけています。バンダイナムコゲームスはゲーム会社ということもあってクリエイターの意向が強いので、ルールを定めて強制的に押しつけるよりも、何かあったら相談したり、部門ごとに連携できる体制を整えておきつつ、運用については自主性に任せています。

——ツイッターに続いてフェイスブックも開始しました。

山本 フェイスブックについてはすでに海外でパックマンのフェイスブックページが人気になっていたことと、ツイッターの前例があったので立ち上げは比較的スムーズでした。

塩入 ソーシャルメディア自体の認知も上がっていたことに加えて、ツイッターとフェイスブックの違いも大きいですね。ツイッターでは個人アカウントと企業アカウントの線引きができないのですが、フェイスブックは企業のためのページ機能があったので「これなら大丈夫ではないか」という安心感がありました。それに加えてツイッターの運用で「ソーシャルメディアとはこういうものだ」という認知が時間をかけて醸成できたことが大きいです。
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高柳 慶太郎(アジャイルメディア・ネットワーク/マーケティング部マネージャー)
高柳 慶太郎(アジャイルメディア・ネットワーク/マーケティング部マネージャー)

2005年楽天株式会社入社。広告営業に従事した後、ADネットワーク事業の立ち上げなどを担当。2008年11月にアジャイルメディアネットワーク(AMN)に入社。営業部を経て、現在はマーケティング部にてAMNのマーケティング活動並びに新商品開発などを担当。

アジャイルメディア・ネットワーク(AMN):http://agilemedia.jp/
Facebook:http://www.facebook.com/keita600

高柳 慶太郎(アジャイルメディア・ネットワーク/マーケティング部マネージャー)

2005年楽天株式会社入社。広告営業に従事した後、ADネットワーク事業の立ち上げなどを担当。2008年11月にアジャイルメディアネットワーク(AMN)に入社。営業部を経て、現在はマーケティング部にてAMNのマーケティング活動並びに新商品開発などを担当。

アジャイルメディア・ネットワーク(AMN):http://agilemedia.jp/
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