膨大な情報は実は使いづらい 時系列に並んだ個別情報を見て対策を考える
台風4号は19日の夕方5時過ぎに強い勢力を保ったまま和歌山県南部に上陸し、その後北上して東海地方や首都圏を暴風域に巻き込みながら東日本を縦断した。台風の影響で西日本、東日本において激しい雨が降ったほか、時より急激に強い風が吹き、日本各地で大荒れの状況となった。
台風4号の被害の爪痕が通過後に徐々に明らかになっているが、今回は台風4号が本格的な猛威を振るう前の段階に注目したい。台風4号の風の強さと豪雨の懸念は今週日曜日あたりからニュースで取り上げられ始めた。上陸が確実視された月曜日にはテレビ局はもちろん各メディアも情報を収集し、自治体も川の氾濫危険水位を超す可能性や列車や空の便の運転打ち切り、欠航などについても予め情報提供された。
気象庁はホームページやテレビ局を通じて台風の大きさ、速度、風の強さ、雨量などのデータを発表し、各地の台風に対する対応を支援した。雨量が蓄積されれば土砂災害のリスクが高まるなど予見される災害事故などの情報についても逐次発表されている。
こうした情報の提供は、実は今始まったことではない。10年以上前から継続して行ってきているものである。しかし、今回はある点が違った。日本では携帯電話やスマートフォンと呼ばれる携帯端末をほぼ全員がひとりに一台持っている計算になっている。実は私も危機管理の立場から4台の携帯電話やスマートフォンを持っているが、ひとりで数台持っている人も少なくないだろう。その携帯電話やスマートフォンに付随するサービスとして利用されている危機管理情報が今回は非常に有益であることが確認された。
ひと昔前までは、ホットな情報はテレビなどから得ることが多かった。テレビのニュースなどを通じて、台風が上陸し、こちらに近づいていることを知り、早めに会社の仕事を切り上げ駅へ向かうと、改札口のパネルに、運行停止や運行打ち切りの看板が出ていて何度もがっかりした経験を覚えている。どの路線を使って帰宅したらいいのかと、途方にくれることも少なくなかった。これらの原因は、依存していたホットな情報が、時間の経過とともに、すでに陳腐化していたことによる。
ホットな危機管理情報を分析すれば的確な回答が得られる
今回私は、台風4号に関する自分の身近に迫った危機管理情報をドコモのインフォーメーションで知ることになる。それは、「雨雲アラーム」で19日の12時に受信され「13時までの間に、東京都周辺地域で雨が降り出す」というものだった。このアラーム情報は、自分の位置を示すGPS機能とリンクされた気象情報に基づくものである。雨雲が私自身に近づくほどに雨は強くなり、情報も頻繁に入るようになる。こちらから情報を取りにいくのではなく、自動的に受信するしくみのため、ホットな情報が簡単に入手できる。
これらのアラーム情報のほか、東京都の台風情報(16時36分の段階で交通機関への影響を警告し、早期帰宅を推奨)、各JR・私鉄の運転見合わせや再開の情報が合間を縫って次々に受信されていく。さらに、東京23区内の東部・西部地域の暴風・波浪警報が18時15分に相次いで発表されると、首都圏の台風への影響は現実に危機的事態に陥り始めた。
運転見合せの第一報は岐阜羽島・米原駅間の新幹線が17時30分で始まり、その後、豊橋・三河安城駅間の新幹線が19時10分、浜松・豊橋駅間が20時10分と続き、20時58分にはJR中央快速が、さらに、22時20分には京王線および京王相模原線が運転見合せとなった。その後もメトロ東西線、総武各駅電車、東急東横線、JR山手線が運転見合せ・再開を繰り返しながら状況の回復を待つ事態が続いた。
ここで重要なことは、これまでパブリックに流れていた情報量の多いデータベースを個々の人々がタイムリーに自分に必要な情報だけを選別し、使用できる環境になったことである。
私の自宅は京王線沿線にあり、16時36分の東京都の台風情報を皮切りに、新幹線の運転見合せの情報をモニタリングしていたところ、20時10分の浜松・豊橋駅間の運転見合せ情報の段階で東京への影響が大きくなったことを認識し、20時30分過ぎに会社を出た。その結果、既に各電車の運行遅延は始まっていたが、どの電車も運転見合せになることなく22時前には自宅に着くことができた。京王線が運転見合せになったのはその数十分後のことである。
今やどの携帯電話やスマートフォンでも危機管理情報が多く集約されるしくみとなっており、これを使わない手はない。情報をうまく使うことができれば、災害から身を守ることができたり、安全な場所を中継して避難することができる。ぜひ、皆さんも危機管理情報を活用してみてはいかがだろうか。
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