「宣伝会議インターネットフォーラム2012」が6月6日、東京都内で開かれ、フェイスブックや動画活用、オウンドメディア、ECなどを、デジタルメディアやツールを活用したマーケティングをテーマに多くのセミナーが行われました。その一部を6月から7月上旬にかけて、本欄で紹介します。
今井 久氏(日本サブウェイ/マーケティング部長)
ブランドを伝える役割としてソーシャルメディアが貢献
サンドイッチの「サブウェイ」は2011年度、日本で過去最高の売り上げと最多新規出店92店舗を達成しました。現時点での全国店舗数は351店です。また、10年5月から20カ月連続で既存店売上高前年比100%を達成し、現在も継続しています。
好調の秘訣は、サブウェイというブランドをお客さまにしっかりと伝えられていることです。逆を言えば、2年前までは伝えるべきことをきちんと発信できていませんでした。これを改善点として、当社のこだわりである“野菜”をテーマにツイッターとフェイスブックを活用し、双方向のコミュニケーションを実現することで、顧客理解を深めることを目指しました。その結果、新規顧客の獲得と既存顧客の離反を防ぎ、売り上げを伸ばすことに成功しています。
ソーシャルメディアを使ったサブウェイのCRMオペレーションは、すばやい対応で要望・ニーズをキャッチし、情報を共有・一元化するというものです。ツイートから得られた気付きを社内のPDCAに活用しています。
ネット上の指摘も集約し改善、返信まで対応
たとえば、「店のゴミ箱が汚い」という発言がソーシャルメディアに上がった場合、そのコメントは本部の「お客さまの窓口」に一括集約されます。改善が必要とされるこうしたコメントについては、具体的な指示が該当店舗にフィードバックされ、店舗側は指摘された状況を改善していきます。並行して、ソーシャルメディア上ではコメント発信者に「対応しました」という返信をしていく。具体的なオペレーションシステムはこのようなものです。
当然、対応するまでの時間が短ければ短いほど、お客さまの満足度・信頼度は上がりますので、今後、いかに迅速な対応ができるかが、ソーシャルメディア活用のポイントになっていくと考えています。
ただし、ソーシャルメディア活用の前提として、伝えるべきことがはっきりしている必要があります。とりとめのない情報の発信はブランドの成長に寄与しません。当社については、「野菜のサブウェイ」というタグラインの通り、野菜を軸に“健康に貢献する”という使命を持ち、ぶれない情報発信を続けていきたいと思います。
連載【インターネットフォーラム】バックナンバー
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