イベントのライブ中継が好評
――ユーチューブとニコニコ動画以外で取り組まれている動画の施策はありますか。
三橋 最近はUstream(ユーストリーム)やニコニコ生放送などをイベントのライブ配信で使うようになりましたね。ゲーム大会のイベントを会場からライブ中継するといった取り組みを始めています。
竹内 昨年9月に幕張で開催されたアミューズメントマシンショー(※1)では、セガブース内のイベントをユーストリームで配信しました。同時刻に配信していた大阪の岸和田だんじり祭を抑えて視聴者数1位になるなど、ユーザーの反応は好評です。
(※1)ゲームセンター向けの最新ゲーム機をはじめ、アミューズメント・エンターテインメント機器など約1000アイテムが出展される業界最大の展示会。
――ユーストリームとニコニコ生放送で違いは感じますか。
竹内 我々としてはどのサービスで配信するというよりも、ファンのためにイベント大会を配信するプラットフォームとしてこうしたサービスを利用しているという意識で取り組んでいます。ただ、ニコニコ生放送のほうがニコニコ動画でゲーム動画を配信していることもあり、ユーザーも多いので結果として視聴者数は多いですね。
――ユーチューブやニコニコ動画のような動画配信と比較して、ライブ中継は人的コストも大きいですが、そうした労力と見合った成果の手応えはありますか。
三橋 労力に見合っているかどうかはこれからですね。ただ、こうしたライブ中継のインフラが整ったということは大きいです。ライブ中継を行うことでイベントの模様を会場だけでなく全国に伝えられるので、今後も効果的に使っていきたいと考えています。
――動画配信に続き、フェイスブックで公式アカウントを開設(7月上旬)されるとのことですが、開設の経緯を教えてください。
竹内 セガという会社はおかげさまで企業そのものへのファンも多く、そうしたファンとコミュニケーションを取りながらセガにもっと親近感を持っていただきたい、ということで開設することになりました。
――フェイスブックはどのように活用するのでしょうか
竹内 ファンとのコミュニケーションを主眼に置いています。セガの公式サイトやそれぞれのゲームは細かな製品情報がたくさんありますが、そうした宣伝的な要素よりはまずセガという会社と、そこで働く人の人となりを伝えていきたいと思います。ゲームの濃い情報を配信するというよりもコミュニケーションを積極的に取っていくことを考えているので、他の企業とは少し違った運営になるかもしれませんね。
ユーザーとのエンゲージメント率をKPIに
――コミュニケーション主体とのことですが、具体的にどのような運営を想定されているでしょうか。
竹内 公式サイトや各ゲームタイトルの情報とは違ったこぼれ話だったり体験記みたいなものを考えています。その他にも色々なアイデアは出ていますよ。最終的にはファン数が増えてからの話になると思いますが、お客さまと協力して開発し、何か物を作るというところまでいけたらなあ、と考えています。
――運営体制はどのくらいの規模でしょうか。
竹内 プロモーション部と広報部がアカウントを管理し、開発部や事業部などの意見も反映させながら運営していく予定です。専属のスタッフはいませんが、記事を書いたりアカウントを運営したりするスタッフが私を含めて10人程度でスタートします。
――セガではゲームタイトルごとにツイッターやフェイスブックを運用されていますが、こうしたアカウントも今後は一括で管理されるのでしょうか。
竹内 今後もゲームタイトルごとのアカウントは部署ごとに運営し、公式アカウントのみをプロモーション部と広報部で運用します。ソーシャルメディアを使うことが目的になっては意味がないですし、それぞれのゲームに合わせたアカウントの使い方がありますので、それは各部署に任せつつ、アカウントを運営する上でのガイドラインを策定しているところです。
――アカウント開設後の目標は。
竹内 いかにユーザーとコミュニケーションできるかということを主眼に置いているので、ユーザーとのエンゲージメント率をKPIとして考えています。とはいえある程度人数がいなければエンゲージメント率だけが高くても意味がありませんので、ファン数なども考慮しながら年間の目標を定めているところです。
―——インタビュー雑感
自社で展開していた動画コンテンツをユーチューブ上で展開し、よりファンに受け入れられるようになったという実績は、企業がすでに保有している資産をソーシャルメディアで展開することで良質なコンテンツに生まれ変わる良い例だと思いました。
また、新たな施策に取り組む際に、どのようなツールを使うかではなく、どの様なコミュニケーションをとるのかというポイントを明確にし、共通認識をもって取り組む重要性を改めて感じました。(アジャイルメディア・ネットワーク)
インタビュー担当 AMN 甲斐祐樹
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