「宣伝会議インターネットフォーラム2012」が6月6日、東京都内で開かれ、フェイスブックや動画活用、オウンドメディア、ECなどを、デジタルメディアやツールを活用したマーケティングをテーマに多くのセミナーが行われました。その一部を6月から7月上旬にかけて、本欄で紹介します。
鈴木克也氏(ヴァージン アトランティック航空/マーケティング部部長)
Webとリアルで、幅広く継続的に展開
昨年の東日本大震災による消費低迷の中、出張や旅行は真っ先に控えられるようになり、さらに原発事故の影響でイギリスからの訪問者数は激減しました。私たちの業界では、常に航空会社とお客さまとの間に旅行会社が入るため、いわばB to B to Cと言えるようなビジネス展開を行っています。しかし震災後はもっとダイレクトなコミュニケーションが必要とされていると感じ、通常とは違うB to Cでのキャンペーン展開をしようと考えていました。
そんな中でイギリスから届いたのが、ウィリアム王子のロイヤルウエディングのニュースでした。自粛ムードが続く日本でも、このニュースに元気づけられました。そこで、われわれも「愛」をキーワードに、お客さまとダイレクトにつながることのできるフェイスブックでのプロモーションとテレビCMを活用し、イギリスに興味を持っていただくきっかけをつくれるようなキャンペーンを組み立てました。
キャンペーン名は「ロンドンから愛 30sec.LOVE」。ロイヤルウエディングで世界中の注目を集めたロンドンから愛のメッセージを送りたい方をフェイスブック上で募集。選ばれた2人には東京―ロンドン間の航空券をプレゼントし、30秒のメッセージをロンドンで撮影、その後ロンドン五輪のサッカーアジア最終予選でテレビCMとしてメッセージを放映するというものです。フェイスブックでのバナー広告などを利用し、「ロンドンまでタダで行く方法はなんでしょう?」というインパクトのあるコピーを展開、さらにラブ・ワールドカップというゲームコンテンツも設置し、ユーザーを誘導しました。
“愛”をキーワードに前向きなメッセージ伝える
またキャンペーン期間中はリアルの場においても、東京・表参道でロンドン気分を味わっていただける期間限定のカフェ「ヴァージン アトランティック ラウンジ」をオープン、街角では愛の象徴であるバラのサンプリングを実施しました。そのほか、「ペア割引」、「愛のUKフェア」など愛にちなんだ料金設定やツアーを企画するなど、Web上でもリアルな場においても、愛をキーワードに様々な施策を実施しました。
最終的にフェイスブックの「いいね!」数は1万5000を超え、キャンペーンへも400以上の応募をいただきました。そして9月21日、予選のハーフタイム中のCMにて、愛のメッセージが放送されたのです。
キャンペーン自体はこれで終わりですが、11月には初心者向けのマラソンイベント「ファンランDAY」を国立競技場で行ったり、フェイスブック上でも友人や大切な人へ向けてメッセージを送ることのできる「RED GREETING CARD キャンペーン」を行ったりしました。ひとつのキャンペーンが終わっても、そこでついたファンを手放さないための施策も継続的に展開し、定着を図っていきました。
次回はアメリカン・エキスプレス・インターナショナルです。
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