2030年までの「エネルギー・環境に関する選択肢」について、意見募集(パブリックコメント)が始まった。これまでの議論を踏まえて国民に向けて示された選択肢は3つ。パブコメおよび意見聴取会による国民的議論を踏まえて、国は、8月末までにエネルギー・環境の大きな方向を定める革新的エネルギー・環境戦略を決定する。
3つの選択肢を理解するための情報とパブリックコメントへの意見の提出方法
3つの選択肢は、原発依存度を基準に、(1)ゼロシナリオ、(2)15シナリオ、(3)20~25シナリオと呼ばれている。
(1)原子力「0%」再生可能エネルギー「35%」
(2)原子力「15%」再生可能エネルギー「30%」
(3)原子力「20~25%」再生可能エネルギー「25~30%」
選択肢に関する情報は6月29日のエネルギー・環境会議(国家戦略室・担当大臣:古川元久)で公表された。専用ウェブサイトでわかりやすく解説されている。
選択肢は、経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会(委員長:三村 明夫 新日本製鐵代表取締役会長)による選択肢の検討、環境省の地球環境部会(部会長:鈴木 基之 放送大学教授、国際連合大学特別学術顧問)による地球温暖化対策の検討、そして内閣府原子力委員会(委員長:近藤駿介 元東京大学大学院工学系研究科教授、東京大学名誉教授)による核燃料サイクル政策の選択肢についての検討を踏まえて示された。
選択肢に対する意見は、HPからの入力、ファックス、郵送で届けることができる。募集期間は平成24年7月2日から7月31日(18:00〆切)まで。
インターネットでの入力は、下記の画面から可能で、文字数の上限は2500字。
ファックスや郵送の場合はそれぞれ書式が決まっているが文字数の上限はない。
意見を提出するにあたっての留意点は、下記の4点。
(1)氏名(法人または団体の場合は、その名称)、住所(法人または団体の場合は、主たる事務所の所在地)、職業、年齢、性別および連絡先(電話番号・メールアドレス)を必ず明記すること。
(2)100 字を超える場合は、概要(100 字以内)も併せて提出すること。
(3)個人情報を除き、意見の内容を公開される可能性があること。
(4)意見に対して国から個別に回答することはない。
全国11カ所で開催される意見聴取会
また、7月14日(土)からは、全国11都市国民参加による意見聴取会が開催される。すでに日程と場所が決定している埼玉県さいたま市、宮城県仙台市、愛知県名古屋市の3カ所の申し込み締め切りは7月11日(水)17:00となっている。
国民に対して情報公開や開かれた議論の場が用意されたことに一定の評価はされてしかるべきだが、このやり方に対する批判もある。7月5日に開催された経済産業省の基本問題委員会では、「一般の国民にわかりにくい」「コスト試算等のデータの検索性がよくない」(枝廣淳子委員)、「パブリックコメントの期間が短すぎる」「大飯原発は国民の反対意見に配慮されず、再稼働された」(阿南 久委員)、「中環審のGDPへの影響などの報告の内容が適当でない」(豊田正和委員)など、問題点が指摘された。
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