「宣伝会議インターネットフォーラム2012」が6月6日、東京都内で開かれ、フェイスブックや動画活用、オウンドメディア、ECなどを、デジタルメディアやツールを活用したマーケティングをテーマに多くのセミナーが行われました。その一部を6月から7月上旬にかけて、本欄で紹介します。
早川次郎氏(富士急行/営業推進室係長)
求められているのは「富士急ならでは」
富士急ハイランドのマーケティング活動のポリシーは「オンリーワン」です。複数のアトラクションがギネス世界記録を保有している、つまり世界中で唯一無二のものを提供しているという自負があるため、プロモーションもまったく新しいやり方を考える必要があります。テレビCMなどのマス広告も、いつも「既視感のないクリエイティブ」をテーマに制作に取り組んでいます。
同様に、ソーシャルメディア活用のポリシーも「オンリーワン」であることです。これは新しいシステムやメディアをいち早く試すという意味ではなく、他社には真似できない「オンリーワンのコンテンツ」を発信するという意味です。
富士急ハイランドでは2009年12月にツイッターアカウントを、2011年3月にフェイスブックページを開設しました。どちらも当初は、誰も見てくれないのではないかと心配していました。なぜなら、富士急ハイランドは年に1回遊びに行く場所であり、頻繁な情報更新を必要としている人はいないと考えているからです。
しかし実際には、フェイスブックページのファン数は1年で9万人にまで増え、いまやソーシャルメディア抜きのキャンペーン企画は考えづらいという状況にまで育ちました。そのとき、何がファンやフォロワーから求められていたのかというと、「富士急ならではの面白くてくだらないコンテンツ」だったのです。
繁忙期以外も継続的にファンとつながり続ける
当社のソーシャルメディア活用の目的は、繁忙期である春や夏以外にもファンとつながり続けて、来場を促進すること。そのため、「富士急に行きたい」と感じてもらえるような盛り上がりをソーシャルメディア上につくり上げることを目指し、ネタづくりに励んでいます。特にこの1年は、フェイスブックページを起点としたキャンペーン企画を多数実施。例えば、参加のハードルの高さにより不調に終わった「高飛(車)写真キャンペーン」(アトラクション「高飛車」の前で撮影した写真をフェイスブックページに投稿してもらうコンペティション企画)などの経験から、お客さまに面白がってもらえる企画を日々試行錯誤しています。ツイッターで「富士急なう」とつぶやくだけで参加できる「富士急なうキャンペーン」などは、気軽さや語呂の良さが好評でした。
このように、ソーシャルメディアを使い始めてから、キャンペーンやイベントに対するお客さまの本当の反応が見えるようになりました。プレスに取り上げられるか否かが評価基準だった以前に比べ、企画の質の向上につながっていることは間違いありません。今後もお客さまの要求に応える「オンリーワン」のコンテンツを考え、リアルの場へとつなげる企画を発信していきます。
「宣伝会議インターネットフォーラム2012」レポートは今回で終了です。
連載【インターネットフォーラム】バックナンバー
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