内閣府作業部会代表の発言で津波被害の深刻な状況が明らかに
東海、東南海、南海地震などが同時発生する「南海トラフの巨大地震」で想定される死者数は、静岡県から高知県の太平洋沿岸を中心に最大で約40万人以上に上るという試算を、河田恵昭・関西大教授が6日、大阪市で開かれた講演会で明らかにし、業界に激震が走った。
その理由の一つは、河田教授は、同地震による人的被害の想定をまとめる内閣府の作業部会の代表で、 8月下旬に公表される予定の死者数の想定も同規模になるとの見通しを示したためである。
また、東海・東南海・南海の三連動地震(マグニチュード=M8.7)による最大の死者数に関する従来の推計は、国の中央防災会議が2003年にまとめた約2万5000人だったが、今回の予測は、それをはるかに上回るものであった。
河田教授によれば、東日本大震災を機に内閣府は、南海トラフで起きる地震の規模をM9.0に引き上げ、 今年3月に最大震度と津波の高さの予測を公表。現在、死者数など新たな被害想定の策定も進めている。 詳細は、こちらのサイトで公開されている。また、防災全体の関連情報については、こちらで検証できるのでぜひ見ていただきたい。
この内閣府の試算では、震度6強以上が想定される地域は24府県395市町村、震度7が想定される地域は10県153市町村に及び、満潮位の津波高10m以上が想定される地域は11都県90市町村、津波高20m以上が想定される地域は6都県23市町村であり、各地域の地震による大きなプレートのすべり状況と断層の動きに伴う満潮時の津波の影響予想はこちらとなっている。
津波高1mの到達時間は、太平洋側のほとんどの地域で10分~20分程度で到達し、深夜に発生した場合、大きな津波を含めて逃げ遅れる人が多く出るとの試算に基づいている。今回の予測では40万人の死者数のうち、静岡、愛知、三重、和歌山、徳島、高知の6県の太平洋沿岸部で36万人が津波の犠牲になるとの結果となっている。また、地震の揺れなどで、大阪府や兵庫県を含め、広範囲なエリアで4万7000人が亡くなると公表された。
一方、昼間に地震が発生した場合は、7割が津波から避難できるとし、死者数は12万人と推計されているものの、それでも大きな数値に変わりはない。
今回の河田教授の予測で、死者数が大幅に増加したことで、死傷者数も大きく変わることになる。津波の衝撃だけでなく、揺れやその後の避難時の負傷者数も大幅に修正される見込みである。津波の到達時間が早く、地震直後に安全な場所へできるだけ早く逃げるにはどのような方法が適切であるのか、国や自治体まかせにせず、国民一人ひとりが真剣に考える必要に迫られている。時速200kmから300kmで海上を進み、陸地に遡上しても自動車の走行速度を超える津波は、なでらかな坂道を飲み込み、逃げ遅れる人々を犠牲にする。数十秒の逃げ遅れが生死を分ける可能性があり、個々に最善の逃走経路を求めて何度も訓練をしておくことが重要である。
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