電通は12日、英国の大手広告会社・Aegis Group plc(イージスグループ)を100%子会社化することで両社が合意したと発表した。買収は友好的なもので、Aegis社の取締役会が全会一致で賛同している。買収総額は31億6400万ポンド(約3955億円。1ポンド=125円で算出)にのぼる。
電通グループでは2009年7月に2013年度までの中期経営計画「Dentsu Innovation 2013」を策定。この中では、クライアントのビジネス環境の変化にあわせて「グローバルにおけるビジネス拡大」を重要課題の一つとして位置付け、幅広い国と地域において一貫したサービスを提供することを目指し、さまざまな取り組みを進めている。
Aegis社は、1968年に設立、欧州での強い事業基盤を確立しているほか、新興国市場や米国においても堅調に業績を伸ばしてきた広告会社。メディアエージェンシービジネスを中核とする一方、デジタル領域においても高い競争力と実績を持つ。
今回の買収により、電通とAegis社がそれぞれ築いてきたネットワークやノウハウを相互に補完することで、両社の顧客に提供する統合ソリューションサービスの質をさらに高めていきたい考え。米アドエイジ誌のインタビューによると、Aegis社CEOのJerryBuhlman氏は「(電通との)2カ月にわたるミーティングを経て、常にパイオニアであり続けている両社のカルチャーは合致していると確信した。双方が持つネットワークを活かしグローバルプラットフォームを築き、さらなる成長を遂げることが可能になるだろう」とコメントしている。
また電通は、デジタル・ソリューションの提供において実績のあるAegis社との統合により、デジタル分野におけるグローバルな事業基盤を確立することにも期待を高めている。
なお、電通の2012年3月期の連結当期純利益と、Aegis社の2011年12月期の連結当期純利益を単純合算すると、Aegis社の業績の割合は約25.5%を占めるとされている。買収による2013年3月期業績への影響については、今後開示される予定。