秋田オリジナルの中型電気バスが一般試乗会に登場する。愛称はELEMO-AKITA(えるも あきた)。納入したのは、東京アールアンドデー(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小野昌朗)で、いすゞ・エルガミオ(ERGAmio)をベースに開発した。2012年7月9日に改造電気バスとして登録を完了したばかり。7月21日(土)には市内中通一丁目で開催される「エリアなかいち」オープニングイベントで出発式を行う。
秋田県では、電気自動車(EV)や新エネルギー産業等に必要な技術力の向上と環境負荷の少ない社会づくりを目指す。平成22年度に行われた「田沢湖周辺地域における次世代自動車実証試験」はその取組みのひとつ。次世代自動車等を活用した観光・産業振興策を検討することを目的として実施され、これを受け継ぐかたちで「あきた次世代自動車実証コンソーシアム」が立ちあがった。
今後は、秋田県立大学システム科学技術学部の御室哲志教授を代表とする「あきた次世代自動車研究会」(平成24年4月~)が、本事業を継承し「EVバス技術力向上事業(補助事業)」を実施する。
研究会には秋田県立大学のほか、トヨタ自動車、日産自動車などの自動車メーカー、秋田三菱自動車販売や日産サティオ秋田などの販売会社、急速充電器を供給するアルバックなど大手企業のほか、地元のタクシーやハイヤー会社、観光協会などが参加する。
納入した東京アールアンドデーでは、「今後は試験走行を行いながら、平成25年に予定している営業運行に向けて県内参画企業の製作した電気バス用部品の実証検証を行い、秋田県の環境に最適化するよう改善・改造を進める」とともに、「被災地を中心とした寒冷地への展開を予定」しているという。
7月26日、27日には国内外の自然エネルギーの専門家が集う「第2回環太平洋自然エネルギー国際フォーラム」が開催される。 秋田には、上の岱地熱発電所湯(沢市)、澄川地熱発電所(鹿角市)、大沼地熱発電所(三菱マテリアル)といった地熱発電所があるほか、NPO法人 環境あきた県民フォーラムらが推進する「風の王国プロジェクト」がある。これは秋田県沿岸部に風車を1000本建てようというプロジェクト。恵まれた風況を活かして、一気に自然エネルギーの普及を進めようというものだ。
安定電源になる地熱は別として、不安定電源の風力には電気を貯める大型の蓄電池をはじめとする、系統対策が不可欠だ。大容量のバスのバッテリーには蓄電池としての機能も期待できる。また、オリジナルの電気バスや風車の設置により、観光誘致にも効果があると考えられている。
21日から始まる電気バスの実証走行は、環境負荷の低減や地域活性化といった複合的な地域の課題への対策としての次世代自動車事業の有効性を検証するものとして、大いに注目を集めそうだ。
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