今日は赤裸々に弊社のことを書きたいと思います。本社を説得してのあけっぴろげ大作戦です。でも、本当にここまで書いていいの?
弊社には、現在30人弱の社員がいます。財務・総務・運転手などを除いた半分は営業・半分はクリエイティブです。実は弊社は媒体部を自前で持っておらず、媒体業務は同じビルに入っているグループ会社にお願いしています。というのも、ぶっちゃけますが、中国では広告会社はメディアのお仕事では全然利益が出せません。
例えば試しに百度で「Ray 雑誌 広告 担当者」とか中国語で検索してみると、直接雑誌社の連絡先が出てきます。そこに電話して「来月号の表四空いていますか?!と聞くと空き枠状況も値段もすぐに教えてくれます。必要な会話が全て終わったその後に「デ、オマエハダレダ?」と聞かれます。
そう。クライアントが電話しても、広告会社が電話しても、値段が同じなのです。そんな中で無理やり弊社で媒体を代理購入しても、薄利でマージン数%です。中国の銀行の貸出金利は年利6.1%。クライアントからの入金が半年くらい遅れると、もう利益は完全に吹っ飛んで金利リスクだけうちで負担、みたいなことになってしまいます。
そんな中でメディアの優位性をだそうと思ったら、規模の経済を働かせ安く購入するか、緻密に効果予測が出来るすごいメディアプラン検証システムを導入するしかないと思うのですが、例えば2010年のRECMAレポートによると、中国のテレビCMの扱いシェアで言うと、ゼニスオプティメディアが18%、マインドシェア、スターコムが各16%。日系では電通が3%、ADKが0.6%です。もう弊社なんて…。
正直クライアントサービスの観点からすると、メディアはゼニスやマインドシェアのノウハウを使ったほうが、どう考えてもクライアントにとってお得なので、弊社では大きな案件は彼らとの共同作業で受注させていただくこともあります。クライアントの日系企業が中国で欧米系メディアエージェンシーと直接やるのは、仕事の進め方や商習慣・言語など、様々な障害があったりもするので、弊社が間に入ることでクライアントさんも満足してくれているはずです!
今日の日本の広告産業は、「クリエイティブは利益がなくてもいいので外注プロダクションと一緒に汗をかいてその頑張りをクライアントに見せることでメディアの扱いを貰う」ビジネスモデルから抜けだそうとしている過渡期だと思うのですが、中国では、そもそもそのようなビジネスモデルは一切ありません。ですので、弊社は完全にクリエイティブやイベント、Webで儲けるビジネスモデルを選んでいます。広告会社というよりは広告制作会社なのが実体です。かっこよく言うとクリエイティブエージェンシーを目指しています。
ただしこれはスタートアップの小さな広告会社にとっては、かなりのチャンスだとも言えます。なぜなら本当の上位でない限り規模の経済がほとんど働かない競争環境なので、弊社のような小さい会社でも、アイデア次第では大手と真っ向から勝負し打ち破ることが出来るのです!
今年も、すでに外資系・日系・ローカル系入り乱れての競合6社コンペに勝利し、日本人なら誰でも知っているような某有名スポーツ飲料のテレビCMを作らせて頂きましたし、つい先日も日系大手プリンターメーカーさんの大きなキャンペーンを、イギリス系のエージェンシーから奪取して現在準備中です。
ここで、弊社の主要ローカルメンバーを各担当から1人ずつ4人だけ紹介します。
- 馬恩宇(アートディレクター)
昔は博報堂にも大広にも居たことがあるというHDYマニア。彼は僕とイチバン長い、本当の右腕です。僕はコラムではいいボスっぽく書いていますが、かなりの気分屋。案件が重なり過ぎると右腕の彼に当たったりもしてしまうのですが、それでも僕の気持ちを分かって、なんとかしてくれる。そしてその夜中にながーーーーいグチの携帯メールを送ってくれたりするところも含めて本当に大好きです。創業期には2人きりで残業し続けた日々があったので、もはや切っても切れない関係ですね。 - 邵贇(コピーライター)
頭脳明晰でびっくりするくらいロジカルシンキングが出来るコピーライター。しかもアイデアもどんどん出してくれる。メチャクチャ重宝しています。ただ感情の起伏が激しく、とあるイベントの様子をバイラルムービーにして次の日には動画サイトにUPしなくてはいけない、という仕事のせいで毎日残業続きになり、イベント当日の夜にMAスタジオで泣きだしたこともありました。でも逆に言うと一生懸命やってくれている証拠でもありますし、馬とともに弊社の大黒柱です。 - 阿部友麗(営業)
前職は半導体営業という異業種からの転職組です。彼女は、ずっと日本に住んでいた、中国人と日本人のハーフで日本語と中国語が完璧。異業種からだったのに3年経つ今では僕が口で言っただけの内容をちゃんと企画書にしてくれるので、超助かっています。昔はスチュワーデスを目指していたというだけあって完璧な接客スキルで、クライアントともとても仲良くなってくれます。朝弱くて遅刻ばっかりなのが玉にキズ。 - 清水由理(調査)
なんと名前がどちらもユリという奇遇な2人なのですが、彼女は元調査会社で、昔は取引先に勤務していました。現在彼女は弊社の調査案件を全て一手に引き受けてくれます。感情の起伏が激しくて調査に向かない感じがするのですが、不思議ととても上手く案件を回してくれます。彼女は中国語がすっごく下手なのですが、それでも伝える能力がハンパない。アベが1分で伝えられるところを3分かかれども、あの発音でビジネスレベルの中国語を操るので不思議です。
僕は常に、中国は毛沢東の国。共産党の国、と言っています。どういうことかと言うと、結局誰か強烈な指導者が居て、その人が言ったことを是としてそれに向かって進んでいくのが、中国での成功への道だと思います。
これは意外に、最近の多くの企業に当てはまるのかも、と思っているのですが、例えば亡くなったアップルのスティーブ・ジョブズ、日本のユニクロ柳井社長、ソフトバンク孫正義社長、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO、みんなどちらかと言うと毛沢東の匂いがしませんか?
僕はこの話をいつも会社でするので、ケンカをして馬から、「你太毛沢東!(お前はまるで毛沢東みたいだ!)」と言われることもあります。お前は自分の考えを押し付けすぎだ!みたいなニュアンスでしょう…時に彼に叱られ反省し、残業中のスタッフにコンビニで全員分アイスを買ってコソコソと帰社してみんなに配ることもありますが、言いたいことは弊社には上記4人以外にも、本当にとても良いスタッフが揃っていますし、競合を打ち破りながら日々面白いアイデアをたくさん作っていますよっ、ということです!
是非いつかお仕事一緒にできることをお待ちしております!(また営業してしまった!)
重松 俊範「中国で広告一筋7年目」バックナンバー
- 第8回 インターネットとリアル(7/26)
- 第7回 脚マッサージ店で覚えた(!?)私の中国語勉強法(7/19)
- 第6回 仁義なき中国での弊社営業手法(7/12)
- 第5回 信頼獲得に成功した中国版SOYJOYのプロモーション(7/5)
- 第4回 大学では学べないMCBA(6/28)
- 第3回 中国人スキ?キライ?(6/21)
- 第2回 日系企業、成功への糸口(6/14)
- 第1回 「日本」という財布を分厚くしたい!(6/7)