自社サイト考

2006年に「只今、リニューアル中」、2007年に「百聞は一見にしかず」、そして2010年に「CREATIVE IS ENDLESS BATTLE」と、これまでワン・トゥー・テン・デザインでは、自社のコーポレイトサイト(以後、自社サイトと呼びます)を通じ、課題解決とアイデンティティの再構築をその時点ごとに行ってきました。組織である以上、会社がどこへ向かおうとしているのか? 我々のバリューとは何なのか? について、絶えず見直すという新陳代謝が必要で、誤った軌道に足を踏み入れていないかを確認し、認識を社員と共有することが必要です。

気づくと、あれ? 自分たち今どこに立ってるんだろう? というのはよくあることだと思います。経営者というものは、24時間365日、会社のことが頭から離れないものなので、会社の進むべき道については一応は理解しています。私の場合は、期首に必ず今期計画を詳細に社員全員に伝えています。

しかし、それはあくまで経営上の方針であり、実態に深く根付いたものであるかは怪しく、社員の主体性を持った意志が別にある可能性もあります。全員面談やリーダー会議という仕組みで声を吸い上げてはいるものの、多くのメンバーで顔を合わせて熟考するという機会はそう多くなく、私は自社サイトのプランニングを通じ、考えることがとても良いスキームだと考えています。

アウトプットが世に出る以上、責任が発生します。一切、話題にもならず、評価されないサイトを公開したらどうなるでしょう? もしくは自分たちの意図しないメッセージが伝わったらどうなるでしょうか? また、受託モデルである以上、自らは黒子に徹するという意図で、ポートフォリオだけを掲載するという選択肢もあるでしょう。

しかし、過去の延長線上に未来を置いてしまうのは、能動的なアクションだと言えるでしょうか? Webプロダクションは大小合わせて無数に存在し、企画力があるのか、実装力が強いのか、デザインが得意なのか、技術力があるのか、マーケティングに秀でているのか、実績だけでその差異を読み解くことは非常に困難です。変化の早い業界だからこそ、未来へ向けた力点として、自社サイトを捉えてみてください。その後のふり幅は大きく変わるはずです。

【百聞は一見にしかず】
あえて、ビジュアルを廃し、対比としての音声ガイダンスを軸に、コンテンツへの興味喚起を狙った自社サイト。2007~2010年。

【CREATIVE IS ENDLESS BATTLE】
3Dロボット格闘ゲームをモチーフに、ゲーム進行に合わせて創作理念を伝えるという自社サイト。2010年~。

1to10design_website_2010~

世界のプロダクションサイト10選

では、世界に目を向けて、どういった自社サイトがあるのか見てみましょう。独創的でユニークな試みを行っているプロダクションやクリエイティブエージェンシーが数多く存在します。

  • AKQA
    ご存知、AKQA。ここまで全面にWorksを押し出したビジュアルも珍しいです。AKQAならではの、堂々とした意思が感じられます
  • R/GA
    9年に一度、会社の体制をガラッと変えてしまうR/GA。前衛的ながらも、サイトはきっちりとワークスを見せてくる力強い設計。自社のプレゼンテーションムービーが秀逸です。次、体制が変わるのは来年の2013年。注目です。
  • Droga5
    デイビッド・ドロガ率いる代表的なクリエイティブエージェンシー。メディアに捕われない自由なアイデアとクリティカルなコンセプトで、最前線の広告クリエイティブを実践しています。
  • 2advanced
    高いFlashアニメーション技術を持つ2advanced。これまでに何度もサイトをリニューアルしており、そのどれもが素晴らしいビジュアルセンスと作り込みで驚かされます。
  • group94
    ベルギーのWebプロダクション。画面全体を電光掲示板のように表現し、独特のWebセンスを感じさせます。Web表現のトップを走るプロダクションです。
  • kesselskramer
    アムステルダムの前衛的なエージェンシー。訪れるたびにデザインが変わるサイトです。どのデザインも計算されたチープさで、ケッセルスクライマーのユニークな姿勢が上手く表現されています。
  • kesselskramer_Website
  • BeamSystems
    アムステルダムの映像プロダクション。プロジェクションマッピングでの映像コンテンツなども制作しています。流れるようなサイトの見せ方で、モーショングラフィックを得意とする個性を言及しています。
  • 180
    ご存知、アムステルダムのクリエイティブエージェンシー。多くの『180』アイコンが並ぶユニークなトップページと、180らしい慎みのあるワークスの見せ方が印象的です。
  • North Kingdom
    スウェーデンのデジタルプロダクション。ARやWebGLなど、新しいWeb技術での表現を得意としています。スマートにアーカイブされているワークスは、一つ一つのクオリティの高さを引き立てます。クレデンシャルムービーは必見です。

    NorthKingdom_Website
  • Your majesty
    スウェーデン人4人で結成されたNYのクリエイティブエージェンシー。非常に高いビジュアルセンスを持ち、映像の見せ方もハイセンスです。ディテールまで行き届いたデザインに丁寧さを感じます。

    Yourmajesty_Website

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澤邊 芳明(ワン・トゥー・テン・ホールディングス代表取締役社長)
澤邊 芳明(ワン・トゥー・テン・ホールディングス代表取締役社長)

京都工芸繊維大学卒業。1997年にワン・トゥー・テン・デザインを創業し、ユニークなアイデアと時流に合わせた先進的なチャレンジによって、多くの大型キャンペーンを成功に導いてきた。ワン・トゥー・テン・デザインはこれまでに、カンヌライオンズ(カンヌ国際広告祭)金賞、One Show Interactive金賞、アジア太平洋広告祭(アドフェスト)グランプリなど、国内外のアワードを80以上受賞。デジタルテクノロジーを軸としたインタラクティブスタジオとして、国内外から注目を集めている。

2012年4月には5社と合流し、広告クリエイティブ領域からコーポレートサイト構築までのデジタルマーケティングを総合的にプロデュースするクリエイティブエージェンシー、「ワン・トゥー・テン・ ホールディングス」を設立。

ワン・トゥー・テン・ホールディングス:http://www.1-10holdings.co.jp
ワン・トゥー・テン・デザイン:http://www.1-10.com

個人ブログ:http://sawablo.com
twitter:http://twitter.com/sawablo
facebook:http://www.facebook.com/sawablo

澤邊 芳明(ワン・トゥー・テン・ホールディングス代表取締役社長)

京都工芸繊維大学卒業。1997年にワン・トゥー・テン・デザインを創業し、ユニークなアイデアと時流に合わせた先進的なチャレンジによって、多くの大型キャンペーンを成功に導いてきた。ワン・トゥー・テン・デザインはこれまでに、カンヌライオンズ(カンヌ国際広告祭)金賞、One Show Interactive金賞、アジア太平洋広告祭(アドフェスト)グランプリなど、国内外のアワードを80以上受賞。デジタルテクノロジーを軸としたインタラクティブスタジオとして、国内外から注目を集めている。

2012年4月には5社と合流し、広告クリエイティブ領域からコーポレートサイト構築までのデジタルマーケティングを総合的にプロデュースするクリエイティブエージェンシー、「ワン・トゥー・テン・ ホールディングス」を設立。

ワン・トゥー・テン・ホールディングス:http://www.1-10holdings.co.jp
ワン・トゥー・テン・デザイン:http://www.1-10.com

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