アメリカの高校生に聞いてみた。「いま、ホットなソーシャルメディアはなに?」(2)

さて、今回のコラムは前回の続きとなる。アメリカの高校生約100人に尋ねた結果に基づき、彼らのうち約2割から3割の高校生が使っていると答えたソーシャルメディアについて、高校生の娘が彼女の視点で解説を試みている。統計の結果については、前回のコラムを参考にしていただければ幸いである。

早速、今回も娘にバトンタッチをしたいと思う。

Instagram で無理やりフォロワーを増やそうとする人は、いけてない!

前回の統計から、Facebook やYouTube のように生活の一部とはいかないまでも、約3人に1人から5人に1人の割合で高校生が使っていると答えてくれたソーシャルネットワークのなかに、Instagram (インスタグラム)とTumblr (タンブラー)がありました。「名前を聞いたことがあるが、まだ使ったことがない」、あるいは「アカウントは持っているがほとんど使っていない」という方も多いのではないでしょうか?

Instagram は、iPhone またはAndroid で写真を撮影し、共有するスマートフォンアプリ。そのため、 これらを持っていない友人たちが「Instagram ってなに?」と聞いてくることも少なくありません。Instagram は、Facebook やTwitter 、Tumblr とつなぐことができるため、高校生の「皆に写真を見てもらいたい」という欲求にぴったり合います。スマホやデジカメで自分が撮った写真を使い、18種類のフィルターから好きな色や明るさを選び 、エフェクトをかけ、アップロードするという極めて簡単な機能です。即席でプロのカメラマンのような気分になれるのに加え、フォロワーからライクやコメントをもらえるため、写真をアップするのが楽しみになります。

yuki_Instagram

アメリカの高校生にも人気のInstagram。

Instagram では、Twitter のように#hashtag が使えます。# 記号の後にキーワードを入れて写真をアップすると、そのキーワードで写真を探している他のユーザーに見つけてもらうことができ、同じ趣味や興味を持っている人たちとつながることができます。例えば私がアドタイの写真を載せた場合、#advertimes と付け足せば、他にアドタイの写真にハッシュタグを付けた人の写真と同じアルバムに追加され、アドタイの写真を探している人に検索してもらうことができます。

このハッシュタグを利用した様々な企画が巷では行われています。Instagramのコンテストでは、テーマにあった写真をアップし、与えられたハッシュタグを付けるだけ。優勝者には様々な賞品が贈られます。多くの場合、それらの企画は国内のみが対象エリアのため、誰もが参加できるわけではありません。現在、Instagram 上では約10のコンテストが行われています。たとえば、その一つである#crazycup のコンテストは、全国のInstagram ユーザーにオープンであり、Ritazza (コーヒー屋)のコーヒーカップをクリエイティブに撮影し、ハッシュタグを付け、インスタグラムにアップするだけで申し込みが完了。毎週優勝者3人にはロモグラフィーカメラがプレゼントされるという仕組み。このように企業はソーシャルネットワークユーザーを巻き込み、PR活動をしています。

最近、“S4S” や“shoutout” という言葉をInstagram で見かけることが多くなってきました。S4S とはサポート•フォー•サポートという略で、これはフォロワーを求めている人同士がサポートし合い、フォロワーを増やしていくというテクニックのひとつ。自分のページにサポートする相手の写真をアップし、@ 記号に続けてユーザーネームを入れ、“Follow@advertimes” というように投稿すると、直接その人のページにリンクされ、その写真を見た人がフォローできる仕組みです。

Shoutout もS4S と似たようなテクニックであり、たくさんのフォロワーを持っている人から、そのフォロワーたちに向けて「このユーザーいいからフォローしてあげて」と宣伝してもらうことを意味します。私自身は、S4S やshoutout といったテクニックに走るユーザーがとても嫌いです。なぜなら本来写真を楽しむための場であるのに、ただただフォロワーを増やすために「ぼくは shoutout するからフォローして〜」とか、「shoutout 欲しかったらこのユーザーをフォローして~」という呼びかけしかしないユーザーが増えてきているからです。しかも、ほとんどのshoutout は実現されず、shoutout を呼びかけたユーザーだけがフォロワーを増やしていることが多いのです。

たくさんのフォロワーがいるからインフルエンサーと呼ばれるのでは意味がない。周りの人々に刺激を与え、強い影響を持つユーザーだからこそ頼まなくてもフォロワーが増え、インフルエンサーとなる。Shoutout などでフォロワーを釣って、何も努力しないユーザーはインフルエンサーと呼ばれるにはふさわしくないと思うのです。

「Statigram (スタティグラム)」という、Instagram をデスクトップ上から操作できるようにしたツールもあります。とはいえ、少し機能が異なり、写真をアップすることはできません。アカウントを持っていれば、自分のアカウントに関連するトラフィック数などを見ることができます。他のユーザーの写真を見てライク(いいね!)やコメントをした履歴、その月に何人のフォロワーが増えたか、どのユーザーにアンフォローされたかという詳細を見ることができます。また、写真の印刷、シールの注文をすることもできますので、一度試されてみてはいかがでしょうか。

Statigram

Instagramをデスクトップで操作できる「Statigram」

Tumblrは休息の場。精神的にダウンした時、ボーっと見てしまう。

さて、私にとっての暇つぶしツールのトップに入るのは、なんといってもTumblr。この感覚をどう説明したら良いかわからないのですが、実際多くの高校生は、Facebook やYoutube を「暇つぶし」とは考えていないでしょう。それは生活の一部であり、ご飯を食べるような感じ。自然な行動の一貫なのです。そして、退屈になったら、Tumblr にでも移動してみようかと。そんなニュアンスです。

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結城 喜宣(Ys and Partnersエクゼクティブ・クリエイティブディレクター)/結城 凛子(17歳)
結城 喜宣(Ys and Partnersエクゼクティブ・クリエイティブディレクター)/結城 凛子(17歳)

日米に拠点を置くCreative Brand Communications – Ys and Partners のエクゼクティブ・クリエイティブディレクター。JWTを経て、2002年に日本ブランドを世界で有名にすることをミッションに、米国カリフォルニア州に本社設立。2005年には横浜市に日本支社を設立。日米グローバル企業のブランド・コミュニケーションを成功に導いている。ブランド戦略に基づいたクリエイティブなストーリーテリングが持ち味。宣伝会議コピーライター養成講座にて「自分の名刺塾」などを担当。
Facebook: facebook.com/ysandpartners
Twitter: @YSAP_NobuYuki
Web: ysandpartners.com

結城凛子(ゆうき・りんこ/カリフォルニア州の高校3年生 テニス部在籍)
父と母の冒険に伴い4歳の時に渡米。再度、両親の冒険につきあい、小学5年から中学2年までを横浜市で過ごす。中学の時は演劇部部長、高校からは全米トップのテニス部に在籍。東日本大震災の支援活動のリーダーなどを務める。米国本場のデジタルネイティブ高校生。
Facebook: facebook.com/thethousandcranesproject

結城 喜宣(Ys and Partnersエクゼクティブ・クリエイティブディレクター)/結城 凛子(17歳)

日米に拠点を置くCreative Brand Communications – Ys and Partners のエクゼクティブ・クリエイティブディレクター。JWTを経て、2002年に日本ブランドを世界で有名にすることをミッションに、米国カリフォルニア州に本社設立。2005年には横浜市に日本支社を設立。日米グローバル企業のブランド・コミュニケーションを成功に導いている。ブランド戦略に基づいたクリエイティブなストーリーテリングが持ち味。宣伝会議コピーライター養成講座にて「自分の名刺塾」などを担当。
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結城凛子(ゆうき・りんこ/カリフォルニア州の高校3年生 テニス部在籍)
父と母の冒険に伴い4歳の時に渡米。再度、両親の冒険につきあい、小学5年から中学2年までを横浜市で過ごす。中学の時は演劇部部長、高校からは全米トップのテニス部に在籍。東日本大震災の支援活動のリーダーなどを務める。米国本場のデジタルネイティブ高校生。
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