■木曜日「Theoretical Thursday」
木曜日は「理論的な木曜日」。日本人には馴染みの深い折り紙にLEDライトを加えてみたらどうだろうという試みや、物理の法則に挑戦するニードルタワー作り等がラインアップ。
■金曜日「Virtual Field Trip」
そして、キャンプ参加者にとって一番の楽しみが、金曜日の「バーチャルフィールドトリップ」だ。ネットワークを通じて、いろいろなところに見学に行ける。その行き先は以下の通りだが、どれもが個人では訪れることのできないような場所で、非常に興味深い。
第1週目
Ford Research & Innovation Lab(米国自動車メーカー・フォードのリサーチ&イノベーション研究所)
参加者はフォードがずっと研究を続けている、石油のかわりに大豆をつかったフォーム(座席等に使われる)の作り方や、最新のドライブシュミレーションがどのように行われているのか等を見学でき、実際にその技術者に質問することができる。
第2週目
National Geographic(ナショナルジオグラフィック)
National Geographicの鮮明な写真を撮るバルーンカメラシステムやOctocopterというカメラについて学ぶ。
第3週目
NASA(アメリカ航空宇宙局)
人間の脳は宇宙でどう反応するのかという研究をしているニューロサイエンス研究所を訪れる。実際の宇宙飛行士も参加している。
第4週目
Smithsonian Natural History Museum(スミソニアン ナチュラル ヒストリー ミュージアム 計19の博物館、美術館、国立動物園からなる世界最大の博物館群)
古人類学者が参加し、先史人類が作り出した道具等を教えると共に、主人公が手近な材料と豊富な科学知識の応用で切り抜け、数々の事件を解決するテレビ番組『冒険野郎マクガイバー』のプロデューサーとして知られるLee Zlotoffが『冒険野郎マクガイバー』を製作するにあたってのエピソードを披露。
第5週目
CERN(欧州原子核研究機構)
世界最大の粒子加速器ハドロンコライダーについて学ぶ。
第6週目
Walt Disney Imagineering(ウォルトディズニーイマジニアリング)
魔法の世界を作り出す縁の下の力持ちたちを訪れ、アトラクションに使われるテクノロジーについて学ぶ。私は、学生時代にディズニーランドでジャングルクルーズの船長をしていたのだが、動物のアニメーションの動きや仕組みを見るだけでも、知的好奇心を掻き立てられるし、夢と魔法の王国がどのようにしてできているかを知ることは、子供にとって、新しい発見の連続となるだろう。
■まとめ
第1週目のフィールドトリップ先だったフォードは、これまでにもミシガン州で、高校生を対象に技術を教えるプログラムを実施してきた。今回のサマーキャンプの取り組みによって、そのプログラムを全米だけではなく、世界中に広げることができたのではないか。
アインシュタインは「聖なる好奇心を忘れるな」という言葉を述べているが、今回の取り組みは、子供たちの聖なる好奇心を掻き立てるような、どれも非常に素晴らしい内容だったと思う。本当の勉強というのはこのような体験を通じて生まれるし、学ぶことの楽しさや才能の発見にもつながる。
日本は、世界の中でも素晴らしい技術を持ち、研究開発にも力を入れている。日本企業が、将来を担う子供や学生たちと交流することは社会貢献にもなるし、世界に対して自社をPRする機会にもなるだろう。日本が元気になるためには、新しい取り組みを仕掛けながら、チャレンジ自体を楽しんでいくことが必要だと私は思っている。
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