今回は、「ジブンと社会をつなぐ教室」を運営しているマスメディアンが2013年度の就職戦線を振り返ります。
経団連の倫理憲章の見直しにより、企業側が採用広報の開始を2カ月後ろ倒ししたため、2013年度入社の就職活動は12月1日に一斉スタートとなりました。学生も企業も、これまでとは違う短期決戦のスケジュールに手探り状態で進められました。その中で様々な課題が浮かび上がっています。
「内定」獲得が目的となった就職活動
学生は、例年とは違うスケジュールに先輩たちのアドバイスもあまり参考にならなかったことでしょう。わからないことだらけの就職活動に「焦る気持ち」や「追い込まれてしまう」学生も多かったようです。
12月1日から企業説明会が一斉にスタートし、現大学4年生の多くが12月中は1日に3社程度の企業説明会に参加し、土日は合同企業説明会に参加。寝る間を惜しんで説明会への予約や企業へのプレエントリー手続きを進めていました。従来であれば「業界研究セミナー」や「企業研究セミナー」など説明会以前に研究段階のセミナーへ参加し、下準備を進めていきますが今年の学生はその段階がすっぽりと抜けてしまいました。
しかし、メールボックスを開けば説明会の連絡や選考の連絡、ニュースや新聞でも就職の話題。気持ちはどんどん焦りはじめとりあえず説明会へ参加し、とりあえず選考を受ける・・・そんな学生も多く見られました。ただ少しだけ冷静になって自分と向き合うことで、そんな切迫した状況も打破できるはずですが、「内定が欲しい」という気持ちが先行するばかりで一番大切な部分が抜け落ちてしまっている学生が多かったように見られます。
就職活動で大切なことは「目的」を見失わないことです。
就職において「内定」を獲得することは目的ではなく、「社会に出て何がしたいのか?」を真剣に考え自分と向き合いながら自分を知り、将来像を探り見つけ出すためことが大切ではないでしょうか。
「自己分析」「業界研究」「企業研究」不足が例年以上に目立った
「本当にうちに入りたいの?」
面接を受けにくる学生に対してそんな思いを持った採用担当者は例年以上に多かったようです。「今年の就職活動生はあまりにも志望動機が希薄だ」との声が多く聞かれました。
彼らの指摘は、志望動機がその企業に対してのものでなければ、自分の言葉でも述べられていないというものです。
毎年、多くの学生に質問されることに
「自己分析は必要か?」
「業界・企業研究はどのようにすればいいのか?」
といったことがあります。
一番肝心な就職活動の軸を見つけ切らずに就職活動へ突入している学生があまりにも多い印象があります。
しかし、選考を受ける上で毎回と言っていいほど質問されることは「自己PR」「志望動機」です。就職活動の軸を見つけられないまま就職活動を進めている学生は、エントリーシートや面接の場面でとても苦しんでいいます。結果、選考の場で自分の言葉でしっかりと伝えることができずに残念な結果になることが多いのです。
特に今年は、本来準備期間としてある10月、11月の期間がなくなり、
「自己分析」不足
「業界研究」不足
「企業研究」不足
が例年以上に目立ちました。
さらに、今年の傾向として内定を複数保有している学生も最後の最後まで就職先を決断することができず、何カ月も悩むケースが多く見られました。
その背景には、準備不足のまま説明会や選考に参加しているため、とりあえず「内定」を獲得することだけに捉われ、何がやりたいかは内定後に考えようと通常の就職活動とは順序を逆にしていたことが挙げられます。
特にこういった学生の特徴として就職活動の「軸」について聞くと「何をやりたい」「こうなりたい」「こういう仕事がしたい」といった思いではなく「大手」「安定」「有名」など具体性のない抽象的な言葉しか出てきません。本来、内定を獲得する学生は自分の言葉で自分の軸を述べることができていましたが、今年は内定者であっても就職活動の「軸」の部分をしっかりと明文化できる学生が少ないのです。
こういった中で、内定式まで1カ月を切った今、内定者に対して例年以上に就業後の『ミスマッチ』が高まる可能性について危機感を覚えている人事担当者も多いのです。
「内定」はゴールではなく、これから始まるキャリアのスタートラインに立つことです。
就職活動の目的は「内定」獲得ではありません。
「何をやりたいか?」
「何に向いているか?」
真剣に考え、業界・企業研究、自己分析を経て企業を決定する必要があります。
就職活動生の中には最短で3カ月未満で就職活動が終わってしまうような学生もいます。
1年にも満たない短い期間にこれからの40年近いキャリアを簡単に決めてしまっていいのでしょうか? 全体的に就職活動のスケジュールが2カ月短くなり、短期決戦の就職活動において学生はこれからの人生を真剣に考え進む道を選択していく必要があります。
「今」みなさんには無限の可能性があります。その可能性を自らみつけ実りあるものにするためにも少し立ち止まって考えてみてください。
ジブンと社会をつなぐ教室プロジェクトチーム(マスメディアン×電通)バックナンバー
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