フォロワー数の多さも効果指標のひとつ
――ツイッターとフェイスブックともに多くのアカウントを運用されていますが、それぞれの違いは感じますか。
上代 ツイッターはタイムラインが流れていくので、投稿するタイミングに気をつける必要があります。一方で匿名のアカウントが多いこともあって質問しやすい空気があり、そうした質問へのリプライやフォロワーに対するコミュニケーションはツイッターで注力しています。
一方、フェイスブックは「いいね!」というわかりやすいレスポンスがあるため、ツイッターほどQ&Aが起きるような情報発信にはなっていません。「いいね!」で肩代わりされているぶん、Q&Aのようなコミュニケーションについてはツイッターのほうが頻繁に起こると感じています。フェイスブックはむしろ情報のアーカイブとして、OfficeのTipsやセミナーのアフターケアなど、情報を出し続ける場として運用しています。
――情報のアーカイブという点ではブログも運営されていますが、フェイスブックとの違いはありますか。
上代 フェイスブックもツイッターほどの早さではないですが情報が流れていく要素はあり、情報のアーカイブとしてブログは開発者マーケティングと製品マーケティングでは非常に重要です。ブログがフェイスブックに変わるわけではなく、ブログはブログとしてマイクロソフトの意見を言い続ける場であり、フェイスブックはよりコミュニケーション要素の強いアーカイブの場と考えています。
――ソーシャルメディアの効果測定はどのように行っているのでしょうか。
上代 目的によって異なりますが、カスタマーサポートによるアクティブサポートについてはお客さまがどういう反応をしているというネガポジを1つ1つチェックしています。今年の2月時点では、ポジティブが32%、ニュートラルが67%で、ネガティブにとらえている人は1%未満という結果が出ており、アクティブサポートは効果があるということを実感しています。
フォロワー数の多さも指標の1つです。ただし、BtoBの場合はフォロワー数よりも、情シス担当といった濃いユーザーとどれだけつきあえるかが鍵ですし、コンシューマー向けのXboxやWindowsといったであればフォロワー数の多さも重要になります。どの指標がふさわしいかは製品によって変わりますので、製品ごとにKPIを設定して効果測定を行うようにしています。
ニコ動やYouTube、LINEにも取り組みたい
――ユーザーの濃さを調べる手法はあるのでしょうか。
上代 正直言って非常に難しいですね。これは我々のトラッキングレポートの課題の1つでもあり、何かしらの手法で明確にしていきたいと考えています。
また、アカウントの分析や傾聴などを統合したツールを現在社内で開発しています。そのツールがあればフェイスブックやツイッター、ブログの分析を1つにまとめてExcelへ自動展開でき、分析や傾聴の労力を大幅に削減できます。こうした分析の労力はできるだけ減らし、そのぶんコミュニケーションのクオリティを上げることに注力していきます。
――今後取り組んでみたい施策はありますか。
上代 ツイッターとフェイスブックもファン数が伸びてはいますがまだまだ足りないと感じていますので、これからも伸ばしていきたいと思います。ただ、ファン数を伸ばすのはキャンペーンを打ったり、そもそも製品が良ければ伸びていきます。重要なのはファンとのエンゲージメントで、そのためにも発信する情報のクオリティをいかに上げていくかが今年の課題です。
また、個人的にはニコニコ動画やYouTube、LINEなども取り組んでいきたいと思います。特にニコニコ動画は20代の4分の3がユーザーという話もあり興味はありますね。製品の情報を正しく伝えるには動画が有効ですし、YouTubeやニコニコ動画はコメントやシェアを通じてSNS的な役割も果たしています。7月からはビデオリードの役割も担当することになったので、マイクロソフトの動画素材を活用して動画にも注力していきたいと思います。
――インタビュー雑感
ソーシャルメディアアカウント立ち上げ当初は、各製品の担当者が直接ソーシャルメディアを運用し、運用者同士でノウハウを共有して、最適化していったという流れは、アカウント立ち上げの際の理想的形であると感じました。現在は、他のチームが一部運用業務サポートしるということでしたが、製品担当者が自ら運用してノウハウを蓄積するというプロセスを経ているからこそ、運用業務の分担もスムーズに行えるのではないでしょうか。(アジャイルメディア・ネットワーク)
インタビュー担当 AMN 甲斐祐樹
次回(10月1日)はスターバックス コーヒー ジャパン です。
高柳 慶太郎「ソーシャルメディア活用 先進企業に聞く」バックナンバー
- 第14回 ソフトバンク「フェイスブックは最近、孫社長のファン数を抜きました」(9/3)
- 第13回 カプコン「販売数が落ち着くとソーシャルの盛り上がりも一段落してしまうのが課題です」(8/20)
- 第12回 カルチュア・コンビニエンス・クラブ「リスクがあるからやめるということはありません」(7/30)
- 第11回 タワーレコード「顧客への情報伝達に対する危機感が、ソーシャルメディア活用を加速した」(7/17)
- 第10回 セガ「労力に見合っているかどうかはこれからですね」(7/2)
- 第9回 バンダイナムコゲームス「『Yeah!』と言えば観客が『Yeah!』と返す」(5/28)
- 第8回 良品計画「店頭での接客と何ら変わりません」(5/14)
- 第7回 KDDI「お客様のコメントに励まされています」(4/16)
- 第6回 アディダスジャパン「自社運用で消費者との関係強固に」(3/26)