今回も、広告界の最前線で活躍するクリエイティブディレクター、コピーライター、CMプランナーが審査員を務めます。その数、なんと100人!
このコーナーでは、審査員の皆さんが日替わりで毎日登場します。プロのコピーライターの皆さんは一体、どんなシチュエーションでコピーを生み出しているのでしょうか?宣伝会議賞のグランプリ、そしてコピーライターとしてのキャリアアップを目指す皆さんに向けたメッセージもお届けします。
本日は、博報堂の吉澤 到さんへのインタビューを紹介します。
宣伝会議賞で協賛企業賞を受賞した経験もある吉澤さん。
元々の所属はクリエイティブ部門ではなく、コピーライターになるためのきっかけになればと宣伝会議賞に応募したそうです。
最近のお仕事としては、サントリーのノンアルコールカクテル「のんある気分」のテレビCMが挙げられます。
「のんある気分」のテレビCMはこちらからも見られます。
——どんなときにコピーが浮かびますか?
吉澤さん 机の前で長い時間かけても何も思い浮かばず、あきらめて机を離れると言葉がふと降りてきて、
あわてて机に戻るということがよくあります。
——考えに考えて、どうしてもアイデアが出ないときは、一度その場を離れてみるというのも効果があるのかもしれませんね。コピーを考えるときの、マストアイテムと言えば何でしょうか?
吉澤さん コーヒー、PC、打ち合わせのメモが書かれたノートです。
——頭の中だけで考えるのではなく、コピーの対象に関する情報が満載の資料を手元において、絶えずヒントを得ながら、アイデアを練っていくことも大事ですね。
吉澤さんは、協賛企業賞の受賞者でもあります。応募当時のエピソードを教えてください。
吉澤さん 入社3、4年目の頃、今とは別の部署で働きながら、将来コピーライターになることを妄想していました。
何かのきっかけになればと応募したのが宣伝会議賞で、運よく協賛企業賞を頂くことができました。
後日コピーライターの先輩に見せたところ、「ふーん」という程度の反応。プロの世界は厳しいのだと思い知らされました。
——そうして、見事コピーライターへの道を切り拓いた吉澤さん。最近、コピーやコピーライターについて、どのようなことを感じていらっしゃいますか?
吉澤さん 最近、コピーが弱くなった。コピーライターの力が落ちてるんじゃないか。僕のいる広告業界でもよく聞く話です。
でも、事実はコピーの機能する場所と機能の仕方が、今、劇的に変わってきているのだと思います。
実感としてはむしろ、クライアントがコピーライターに期待する役割はより大きく、より重くなっていると感じます。
——コピーライターにできること、言葉の使い手にできることは、確実に増えていると言えそうですね。
次回は、クリエイティブ・ブティック パイロンの鵜久森 徹さんへのインタビューを紹介します。コピーライターとしての、駆け出しの頃のエピソードも話していただきました。お楽しみに!
吉澤 到(博報堂/シニアクリエイティブディレクター、コピーライター)
1973年生まれ。主な仕事に、サントリー「のんある気分」、月桂冠つき「夫婦のつぎは、何になろう」、
花王アジエンスなどがある。朝日広告賞グランプリ、TCC新人賞、カンヌ国際広告祭銅賞、
NYフェスティバルグランプリなど受賞。
【宣伝会議賞1分アドバイス バックナンバー】
- 濱田雄史さん「一次と二次の審査結果を見ると、自分のコピーが“当たり”かわかる」
- 阿部光史さん「人の心に灯りを点すコピーを」
- こやま淳子さん「宣伝会議賞で、仕事では鍛えられない筋肉を鍛える」
- 横澤宏一郎さん「応募経験が、クリエイティブ職を目指す自信になる」
- 三井明子さん「たいくつな映画を観ているときにもコピーが生まれる」
- 富田安則さん「重要なのは、応募に自分なりの目的を持つこと」
- 原晋さん「コピーは、ひらめかない」
- 林尚司さん「アイデアが浮かんだらすぐに書きとめる」
日本最大規模の公募広告賞「宣伝会議賞」は第50回を迎えます。1963年にスタート以来、広告界で活躍する一流のコピーライターのほか、糸井重里さん、林真理子さんといった著名な書き手を輩出してきました。50回目となる今回は50社の協賛企業から課題が出されており、第一線で活躍する100人のクリエイターが応募作品を審査します。課題は9月1日発売『宣伝会議』本誌にて発表、2012年10月31日が締め切りとなります。