「宣伝会議販促・集客メディアフォーラム2012」が8月28日、29日、東京国際フォーラムで開かれ、新カテゴリを切り拓いた商品の販促、ネットと連動して店舗へ集客した施策、チラシ活用、消費者の行動観察などをテーマに、多くのセミナーが行われました。その一部を9月から10月上旬にかけて、本欄で紹介します。
日本コカ・コーラ マーケティング&ニュービジネス Iマーケティング&システムイノベーション
シニアマネージャー 足立浩俊氏
日常コンテンツを介したブランディング手法
日本コカ・コーラでは「いつでも、どこでも、誰にでも」というコンセプトのもと、飲みたくなったときに消費者の手に届くところに商品があることを大切にしています。
そこで、同様に手軽に使うことのできるモバイルを活用し、PC、スマートフォン、フィーチャーフォンでのマルチ展開により、モバイル端末から見られるサイトから消費者にアプローチをかけることが重要になってきます。
当社のオウンドメディア『コカ・コーラ パーク』は、いままで「ブランドメッセージ」を伝える意味合いが強く、自社のキャンペーンやテレビCM情報、企業情報などが主なコンテンツになっていた自社のサイトを、ニュース・占い・天気予報・ゲームといった日常コンテンツにより構成したものです。
このサイトは、ユーザーの方に日常的に来訪したいと思ってもらうことを念頭に置きながら、ユーザーに関連性のあるコンテンツに企業のメッセージを盛り込むことを心がけています。現在の会員数は約1200万人、月間PVは約5~6億になります。特徴的なのは、「サイト内の滞在時間」「1人あたりの訪問回数」で非常に高い数値を示していることです。また、プロモーションごとに分かれていた顧客データベースを一元化し、最初に会員登録をすれば、各プロモーションに簡単に参加できるようにもしました。
O2O施策にゲーミフィケーションの要素を取り入れる
O2O(オンライン・ツー・オフライン)という概念は“オンライン上で大きな動きを起こして、リアルな店舗に誘導していく”ことがより強調されたものだと考えています。
日本でO2Oが旬なワードとして世間に広まった主な背景には(1) スマートフォンの普及(2)ゲーミフィケーション(生活の行動をゲーム化する)というワードが浸透してきたことが挙げられると思いますが、特に“ゲームで楽しんでもらい「顧客ロイヤリティ」を高めて購買につなげよう”というゲーミフィケーションの土壌が整えられたことは大きいと思います。
ここで当社のO2O施策を2つ紹介します。1つ目は当社のもっとも重要な販売チャンネルになっている自動販売機への購買促進を意図した「ハピネスクエスト」。本来無機質な自販機に人格を持たせ、ユーザーに自販機に楽しさと愛着を持たせることで、購買行動につなげようと考えたものです。対応する自販機は約82万台に達し、登録者数は35万人を超えています。
2つ目が、日本マクドナルドとのJリーグ応援企画「マイJクラブプログラム」です、ここでは、Jリーグ40のクラブの中から自分が応援したいチームを選び、そのチームが試合に勝つとマクドナルド店舗で使えるデジタルクーポンが発行される仕組みをつくりました。また、店頭誘導の施策としてはユーザーに会員用のクーポンを特別に提供することで、店舗へ行くメリットを感じてもらうようにしています。
今後も、こうした施策を行っていきユーザーとのつながりを深め、購買につなげていきたいと思っています。
次回はNo.10 渋谷ヒカリエ(東急)です。
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