才能ないねと言われるのが恐くて、6年間応募できなかった
はじめまして。コピーライターの赤星薫と申します。ここはボディコピーのようにすてきな一文から!と考えたのですが、最初から見栄を張っても続かないので…。普通ですみません。半年間よろしくお願いします。
こういう公募って、さらりと受賞するのがいちばんかっこいいですよね。でも残念なことに、私は根っからの雑草系。就職活動からさらりといかず、40社以上落ちに落ちまくりました。やっとこさ拾ってもらった広告制作会社でも、書いたコピーはボツの嵐。8年過ぎても鳴かず飛ばず今に至ります。
だからこそ、実績がなくても参戦できる宣伝会議賞は、昔から気になる存在でした。初めて応募したのは新人の頃。市ヶ谷のルノアールで、覚えたての「コピーっぽいコピー」を20本ほど書き、その足でポストに投函しました。「こ、これはもしや100万円…!」。
もちろんそんな甘い考えが通用するはずもなく、さくっと撃沈したことは言うまでもありません。せめて翌年がんばればよかったのですが、その後6年間は応募すらせず。それどころか「宣伝会議賞?プロは仕事でそれどころじゃねーんだ!」とやさぐれたセリフまで吐いておりました(すみません)。今思えば完全に言い訳ですね。本当は、「きみ、才能ないね」と言われることが、ただただ恐かったのです。
仲間やクライアントからバンバン指名されてこそ、一人前
でも30歳を過ぎた頃から、今度は「なんか、小さくまとまってない?」と言われそうな気配に恐怖心を覚えるようになりました。それなりに仕事はしていても、「これ」という強みがない。コピーライターは、たとえ会社員でも個人事業主のようなものなので、仲間やクライアントからバンバン指名されるようでなければ一人前とは言えません。そんなところに憧れてこの仕事を志したのに、今自分の名前で勝負できているか?と問われれば、ぐうの音も出ず…。
やばい、これは修行の旅に出ねば!というわけで、昨年、円形脱毛症になりながら転職し、ずっと横目で見ていた宣伝会議賞とも、ようやく向き合うことにしたわけです。
とはいえ、課題を知った時点で既に10月上旬。迫り来る〆切に焦りつつ、冷や汗をかきながらコピーを書いたことを覚えています。運良く協賛企業賞はいただけたものの、やっぱりどこか、小さくまとまったコピーしか書けませんでしたね。ファイナリストの方々との差は歴然。そのせいか、目の前の表彰台がやけに遠くかすんで見えたことが、今も忘れられません。
でもたとえどんなに遠くても、距離がわかれば、きっと歩いていけると思うのです。今年の応募数の目安は500本。早くも胃が痛い状態ですが、「忙しくてできなかった」という、いちばん痛い言い訳だけはしないようにしたいと思います。もうコピーを書きはじめている方、きっといっぱいいますよね(私はまだです…また出遅れてます)。お互いもがき苦しみつつ、でも楽しみながら、てくてく歩いていきましょう。
来週月曜日は、中島彰則さん(33歳)の「宣伝会議賞チャレンジ宣言(1)決意の9月編」をお届けします。
挑戦者16人のプロフィールはこちらから。
【宣伝会議賞チャレンジ宣言(1)決意の9月編 バックナンバー】
- 「趣味の“大喜利”活かして宣伝会議賞に初挑戦」森本祥司さん(28歳)
- 「宮古島から初の宣伝会議賞グランプリを目指す」富山忠彦さん(37歳)
- 「名誉こそ、この賞に応募した最大の理由です」井上真木さん(29歳)
- 「自分の力試しと、夢を叶えるための糧としてグランプリを目指したいです」笹本貴大さん(22歳)
- 「次回のブログ更新までに3000本書きます」郡司淳さん(27歳)
- 「受賞して、挑戦権を剥奪されたい」安部翔さん(28歳)
- 「“コピーとは、人を動かすコトバのアイデア”と教わりました」藤田雅和さん(36歳)
- 「ほんとうにグランプリを狙っていたので、前回は悔しいだけでした」和泉 真さん(24歳)
日本最大規模の公募広告賞「宣伝会議賞」は第50回を迎えます。1963年にスタート以来、広告界で活躍する一流のコピーライターのほか、糸井重里さん、林真理子さんといった著名な書き手を輩出してきました。50回目となる今回は50社の協賛企業から課題が出されており、第一線で活躍する100人のクリエイターが応募作品を審査します。課題は9月1日発売『宣伝会議』本誌にて発表、2012年10月31日が締め切りとなります。