「宣伝会議販促・集客メディアフォーラム2012」が8月28日、29日、東京国際フォーラムで開かれ、新カテゴリを切り拓いた商品の販促、ネットと連動して店舗へ集客した施策、チラシ活用、消費者の行動観察などをテーマに、多くのセミナーが行われました。その一部を9月から10月上旬にかけて、本欄で紹介します。
東京急行電鉄 渋谷開発事業部 ヒカリエ運営部 課長 下山洋一氏
新しい価値を創造し発信するプラットフォーム
渋谷の新しいシンボルタワーとして誕生した「渋谷ヒカリエ」は、渋谷の再開発のリーディングプロジェクトです。渋谷は若者の街というイメージが定着していますが、それによって大人世代が渋谷から離れるようになってしまいました。渋谷ヒカリエは、そうして離れつつある大人を渋谷に取り戻すための象徴という位置づけでもあります。
以前、同じ場所にあった東急文化会館は、時代の最先端の娯楽や情報を“提供する場”でした。渋谷ヒカリエはそのDNAを引き継ぎ、娯楽や情報を提供しながら、さらに「新しい価値を創造、発信していくプラットフォーム」を目指しています。
工事着手当時のアンケートでは、ヒカリエのプロジェクトを知っている人が半分位であったため、開業に向け認知度を上げていくことが当初の課題となりました。
そこでプロモーション戦略として始めに手がけたのは、「渋谷の街のビジョン」と「劇場のこけら落とし演目」の発表のプレスイベントです。これをスタートに、メディアを通じて一般の方々に訴求していきました。
立地、施設の特徴を最大限にいかした集客
このプロモーションのポイントは3つあります。
一つ目が、渋谷の街の情報発信力を最大限に生かし、東急グループのリソースを存分に活用して告知を展開したこと。二つ目が、訴求の切り口を複数持って訴求したこと。〝渋谷の街が変わっていく〟〝映画ではないライブの劇場〟といったさまざまな切り口で訴求を行いました。そして三つ目が、トップマネジメントからの情報発信です。当社社長自らが記者会見の場でPRを行ったことでニュースバリューが上がり、メディアを介して渋谷ヒカリエの開業を広めることができたと思います。
4月26日のオープン初日は10時の開店時に4000人のお客様に足を運んでいただき、GW期間は149万人もの集客となりました。事前のプレス発表会などの訴求もあり、開業時のメディア掲載は500媒体を超え、大きな反響を得ることができました。
今後の集客施策を展開する上では、やはり渋谷駅につながっているという利便性の高い立地を最大限に活用していきたいと思います。また、劇場やイベントホールがあることで、常に異なる演目やイベントが行われるため、他社の力も借りて継続的に新規客を集められるというのも施設のメリットです。
現在は開業による注目の高さが集客につながっています。今後も渋谷ヒカリエに繰り返し訪れていただくためには、継続的なコンテンツの発信が必要となります。施設用途が多岐にわたるというのは集客の切り口がたくさんあるということなので、試行錯誤しながらこれからも取り組んでいきます。
→次回はNo.11 エステーです。
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