アドタイでは今回、審査員を務めるクリエイターの皆さんから応募のアドバイスを一問一答でいただき、順次紹介しています。短い、シンプルな内容ではありますが、その言葉の節々にコピーを生み出すヒントが詰まっています。
宣伝会議賞の入賞、そしてコピーライターとしてのキャリアアップを目指す皆さんに向けたメッセージもいただきました。ぜひお役立てください。
本日は、大広九州の國武秀典さんへのインタビューを紹介します。
異業種から広告界を目指し、コピーライター養成講座を受講、宣伝会議賞への応募を続けていたという國武さん。最近の仕事には、セイカ食品 ボンタンアメの広告「ポケットの中の、タイムマシーン。」が挙げられます。
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――コピーが浮かぶのは、どんな瞬間でしょうか?
國武さん 考えて、考えて、考えて、ご褒美は突然にやってきます。
――やはり、アイデアが突然降ってくるということはなく、まずは対象について考え尽くさなければ、すぐれたコピーにはたどり着けないのですね。コピーを考えるときの、マストアイテムと言えば何でしょうか?
國武さん メモとペンと、喧騒です。
―― 一人で静かにコピーに取り組みたいという方も何人かいらっしゃいますが、音楽や人の話し声など、適度に音がある状態のほうがインスピレーションが湧くという方も少なくありません。國武さんは、宣伝会議賞への応募経験もお持ちですよね。当時のエピソードを聞かせてください。
國武さん 一次審査通過作品の発表号を開くドキドキは忘れられません。無料だし、“数撃ちゃ当たる”的に応募してました。コピーの語尾違いだけで10案近くも……。審査員を10年近くやらせていただいて気づきました。無駄な抵抗はよせ、そんなことに時間を費やすより、潔く新しい視点を発見しろと。
――「てにをは」の部分で悩み、応募する作品をなかなか選べないという声も、応募者からはよく聞かれます。しかし、審査員の皆さんにお話を伺うと、そうした細かいテクニックよりも、切り口の斬新さが際立っている作品を選ぶことが多いようです。最後に、50周年を迎えた宣伝会議賞にメッセージをいただけますでしょうか。
國武さん 50周年おめでとうございます。10数年前、異業種からこの業界を目指し、コピーライター養成講座に通いながら宣伝会議賞に勤しんでいた時の頃を思い出します。その頃の広告界は、ミラーボールのように、スポットライトを浴びて眩しかった。正真正銘、憧れの職業でした。もう一度、一行の力を、コピーライターの時代を。そのために宣伝会議賞の役割は、大きいと思います。
――広告界全体をさらに盛り上げていく。宣伝会議賞は、その一翼を担う存在にもなっていけたらと思います。
次回は、博報堂の下東史明さんへのインタビューを紹介します。「コピーライター」という仕事への思いも伺いました。お楽しみに!
國武 秀典(大広九州/クリエイティブディレクター、CMプランナー、コピーライター)
主な仕事に、九州電力、西部ガス、九州電気保安協会、楽市楽座、セイカ食品、行政関連ほか。TCC新人賞、ACC賞、広告電通賞、消費者のためになった広告コンクール、ギャラクシー賞、JAAAクリエイティブ・オブ・ザ・イヤー メダリストなど受賞。
【宣伝会議賞1分アドバイス バックナンバー】
- 左俊幸さん「今は、コピーの『型』にとらわれず、好きに書くしかない」
- 笠原千昌さん「最高の1本にたどり着く努力を怠らない!」
- 森田直樹さん「コピーライターは“言葉守”になるべき」
- 赤城廣治さん「今の時代に求められるコピーライターとは、独自の『いいね!』を押せる人」
- 中村猪佐武さん「良いコピーを生むのは、ADやプランナーとの『あーでもないこーでもない』」
- 岩田正一さん「コピーライターは、『想いを言葉にする』仕事」
- 服部タカユキさん「コピー講座で教わったことを愚直に守り続けた」
- 安路 篤さん「コピーは、発見と切り口」
日本最大規模の公募広告賞「宣伝会議賞」は第50回を迎えます。1963年にスタート以来、広告界で活躍する一流のコピーライターのほか、糸井重里さん、林真理子さんといった著名な書き手を輩出してきました。50回目となる今回は50社の協賛企業から課題が出されており、第一線で活躍する100人のクリエイターが応募作品を審査します。課題は9月1日発売『宣伝会議』本誌にて発表、2012年10月31日が締め切りとなります。