宣伝会議賞1分アドバイス(32)野原ひとしさん「宣伝会議賞は、コピーライターが孤立無援で戦う唯一の場」

9月1日からスタートした第50回宣伝会議賞。10月31日の締切が徐々に迫ってきています。

アドタイでは今回、審査員を務めるクリエイターの皆さんから応募のアドバイスを一問一答でいただき、順次紹介しています。短い、シンプルな内容ではありますが、その言葉の節々にコピーを生み出すヒントが詰まっています。

宣伝会議賞の入賞、そしてコピーライターとしてのキャリアアップを目指す皆さんに向けたメッセージもいただきました。ぜひお役立てください。

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本日は、アサツー ディ・ケイの野原ひとしさんへのインタビューを紹介します。宣伝会議賞での受賞経験もお持ちの野原さん。贈賞式の壇上に上がった時のエピソードも伺いました。最近の仕事としては、味の素の企業広告「ごはんだよ。帰っておいで。」があげられます。
味の素の広告はこちらでも見られます。

――コピーが浮かぶのは、どんなシーンでしょうか?

野原さん 寝ても覚めてもコピーのことをず~っと考え続けて、もう考えるのが嫌になった瞬間です。

――嫌になるほど考え抜くプロセスが、すぐれたアイデアを生むのですね。コピーを考えるときの、マストアイテムと言えば何でしょうか?

野原さん iPhone、4色ボールペン、Macです。

――野原さんは、宣伝会議賞での受賞経験もお持ちですね。当時のエピソードを聞かせてください。

野原さん 応募期間中は飲みにも行かずに毎晩課題に取り組んで、毎週郵便局に出しに行ったものでした。初めて贈賞式の壇上に立った時は足も声も震えました。そして、来年こそは一等賞をとるぞと誓いを新たにしたものでした。私は39歳までほぼ毎年応募し続けましたが、結局一等賞はもらえませんでした…。

――毎年!受賞してもなお満足することなく、さらに上を目指してチャレンジし続けた姿勢、ぜひ見習いたいですね。第50回宣伝会議賞も、応募締切まで残り2週間となりました。コピーライターを目指す応募者の皆さんに、メッセージをいただけますか。

野原さん 数ある広告賞の中でも、コピーだけで審査されるのは宣伝会議賞だけです。ほかの広告賞は、デザインが良かったり、ビジュアルが斬新だったり、コピーもいいかもしれないけれど、デザイナーやアートディレクターに助けられている場合が結構多い。コピーライターひとりが孤立無援で戦って、コピー1本で賞が取れる。そんなコピーライターがいちばんエライと私は今でも思います。

――世の中に発信される広告は、コピーを含むクリエイティブの総和として評価されるのが常ですから、コピーだけ、言葉だけを評価対象とする宣伝会議賞は、確かに貴重な機会と言えるかもしれません。今年は、CM作品についても字コンテのみの応募となったこともあり、これまで以上に言葉の力が試される賞となりそうです。

次回は、風トラの西脇 淳さんへのインタビューを紹介します。西脇さんにも、宣伝会議賞へ応募していた当時のエピソードを伺いました。お楽しみに。

野原ひとし(アサツー ディ・ケイ/コピーライター)
1964年生まれ。主な仕事にヤクルト本社、山崎製パン、ロート製薬、味の素ほか。
TCC新人賞、ACC賞、広告電通賞、朝日広告賞、毎日広告デザイン賞、ロンドン国際広告賞など受賞多数。


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『宣伝会議賞』
日本最大規模の公募広告賞「宣伝会議賞」は第50回を迎えます。1963年にスタート以来、広告界で活躍する一流のコピーライターのほか、糸井重里さん、林真理子さんといった著名な書き手を輩出してきました。50回目となる今回は50社の協賛企業から課題が出されており、第一線で活躍する100人のクリエイターが応募作品を審査します。課題は9月1日発売『宣伝会議』本誌にて発表、2012年10月31日が締め切りとなります。
第50回 宣伝会議賞
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